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しばらくの沈黙。
雨音と、車の音、そして、佐野先輩がタオルで制服を拭う音だけが、交互に俺の耳にリフレインする。
そして、またしばらくして、その沈黙を破ったのは佐野先輩だった。
「そう言えば、今日部活は…？」
「あぁ…。この雨で校庭が使えなくなったんで、今日は軽いトレーニングだけして早めに練習終わったんですよ」
まだ少し明るい雨空は、しかし確実に暗闇を伴っていく。
分厚い雨雲のせいで、それもいつもより早く感じる。
「そっか…。そうだよな…」
あの頃を思い出しているのか、佐野先輩の長いまつげがその目の輝きを隠す。
そうか、佐野先輩がサッカー部を辞めてからもうすぐ一年になるのか…。
「ごめんな…。俺のせいで、お前らにも迷惑、かけて…」
「そんな…。あれはだって…佐野先輩のせいなんかじゃ…」
あの日の事は、あの場にいた人間なら誰が見ても明白だった。
あれは佐野先輩が悪いんじゃない。
誰もがそう思っている。
けれど、当の本人はそうは思っていない。
自分が悪い、全て自分の責任、そうとしか思っていない。
そして、先輩はこう続ける。
「いや、あれは俺が悪いんだ…。俺が…」
静かに、しかしはっきりと、この人はそう言った。
きっと俺が何を言っても、この人はこう言い続けるだろう。
否定してほしいわけではない、本当に、そう思って言っているんだろう。
ならば、もう何も言うことはない。
「柔太朗は、どうしてる…？」
「相変わらず、プロ目指してサッカーを一生懸命やってますよ。あの時以上に。しかも、最近俺が見つけた秘密の練習場所のこと教えたら、喜んで行きたいって子供みたいに目を輝かせてましたし」
「そっか…。良かった…。あいつはちゃんと、自分の夢を追いかけてくれて…。でも、もうあいつは俺の事、許してくれないだろうな…」
そうして、寂しそうに雨の降りしきる景色を眺める佐野先輩の横顔を見ながら、俺は口を開いた。
「そんなことないと思いますよ」と、きっといつもなら、その言葉は適当に空気を読んで取り繕った、上辺だけの言葉になっただろう。
だけど、今の俺は何故だか本心でそう言ったような気がした。
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milkssss(プロフ) - めるてぃーさん» ありがとうございます！明日には完結できるように頑張ります！！ (2020年1月30日 19時) (
レス) id: a9a20d4e33 (このIDを非表示/違反報告)
めるてぃー - 更新がはやいので嬉しいです、頑張ってください！ (2020年1月30日 5時) (レス) id: 3d377f7936 (このIDを非表示/違反報告)
milkssss(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます。そういっていただけて嬉しいです！ (2020年1月21日 18時) (レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
みるく - すごく続きが気になります！ 更新頑張ってください！ (2020年1月20日 21時) (レス) id: 715edf2e0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年1月20日 19時
