占いツクール
検索窓
今日:5 hit、昨日:27 hit、合計:5,923 hit

*** *** ページ41


俺は、今までそんな風に生きてきた。

周りの空気を読んで、人の顔色を窺って、別に大して面白くもないのに愛想笑いして、特に感動もしないけど驚いたふりして、全然興味ないのに話を合わせて、うなずいて。
そうやっておけば、周りに嫌われずに済むし、仲間外れにされなくて済むし、安全に生きていける。
だから、ちょっとぐらい俺が損をするのは、そんな安全を手に入れるための対価だと言えよう。
けどまぁ、そんな変な気を遣うのは、多少なりとも神経を使うし、本心じゃなく、適当な言葉を考えるのも、面倒と言えば面倒なのだが、それもまた安全のための必要な犠牲だろう。

「おい舜太、何やってんの?早く部活行こうぜ」

すると、本を図書室に返しに行くため、校庭とは反対方向に歩いて行こうとする俺の後ろから、同じクラスで、同じサッカー部のキャプテン、山中柔太朗、通称柔君が話しかけてきた。
彼とは中学校から同じで、ずっと一緒にサッカーをしてきた仲だった。
そんな彼にだけは、俺も多少は気兼ねなく本心を話せるぐらいの仲だと思っている。

「あ、ごめん。俺図書室寄ってから行くから、先行っといてよ」

「ん?本?これお前が借りた奴じゃないだろ?」

「頼まれてもーた」

「はぁ…。お前って、ほんとお人よしだな。とっとと済ませて早く来いよ」

そう言って柔君は俺に手を振って校庭の方へ走っていった。
お人よし、という言葉は、多分柔君は皮肉のつもりで言ったんだろう。
俺だって、ただ良いように使われているだけ、というのは理解しているが、それで丸く収まっているのも事実。
確かにこんな自分を押し殺して周りに合わせて生きていくのが正しい生き方とは言えないのかもしれないけど、

何というのか、俺はそういう生き方しか知らないんだ。


 

*** ***→←*** ***



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (9 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
11人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:milkssss | 作成日時:2020年1月11日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。