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随分と長い独り言をしゃべってしまった。
俺の隣で、宮世君はずっと遊具の下を見つめながら俺のどうでもいいような話を黙って聞いていてくれた。
だけど、何だろう。
少しだけ、すっきりしたような気もする。
誰かに心の内を話したことで、自分のなかでもこのことについてちょっと整理できた気がするのだ。
あくまで気がするだけで、実際のところはわかるわけもないけれど、それでも俺の心が少し軽くなったのは確かだ。
もっと早くにこうしてれば、俺の高校三年生の時間は何か変わったかもしれない。
こんな引きこもりの生活じゃなく、もっと、何か…。
「良いですね…。そんな友達がいてくれて…」
すると、宮世君はボーっと遊具の下を見つめながら、そんな風につぶやいていた。
「友達…？あいつが…？それはどうかな…。確かに、あの日までは俺達はマジで仲良かったよ…。ライバルでもあり、親友だった…」
「じゃあ、今もそうなんじゃないんですか？だから、い、板垣先輩、の、家までわざわざ謝りに来るんだと思うんですけど…」
俺が調子に乗って相手校を挑発したせいでこんなことになったのに、そのせいであいつを巻き込んでこんなことになってしまったのに。
今更俺はあいつを友達だなんて、まして親友だなんて言えない。
そんなおこがましいこと言えるはずがない。
例え向こうがそう思っていたとしても、俺はそうは思わない。
その時点で、もうそれは一方通行の友情であり、友達とも親友とも呼ばない。
俺はそんな風に思った。
「多分、違う…」
だから、俺は宮世君にはそう答えた。
その答えを聞いた宮世君は、それ以上何も言い返しては来なかった。
それにしても、俺は何でこんな初対面の、しかも同じ高校の後輩にこんな話をしてしまったんだろう。
そもそも、こいつは一体何でこんなとこで寝ていたんだろう。
一体、こいつは何者なんだ。
俺は、少し不審な気持ちが今更生まれて、横目で宮世君を確認した。
彼の横顔は、なんだか今にも壊れてしまいそうな、そんな暗い影を落としていた。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年1月11日 18時
