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もちろんキャプテンだって必死だったから、まさか俺の足がそんなとこにあるなんて気づくわけもない。
チームの勝利のため、全力で振り抜かれたその足は、俺の右足を粉々に砕いたんだ。
その時のあいつの顔は、ほんと…今も忘れられない…
そして、俺はすぐに病院に運ばれたんだけど、医者にはこう言われた。
月並みだけど、『もうサッカーはできないと思った方が良い』って。
その時、俺は何が何だかわからなくなって、自分の世界が、何もかも崩れた気がした。
人生で一番楽しい瞬間のはずだったサッカーができないって聞かされてから、俺はもう何もかもどうでも良くなったんだ。
押し倒した相手チームの生徒にも、俺の足を蹴り飛ばしたキャプテンにも、俺の足を治せない医者にも、そして、そんな風にしてしまった自分自身にもむかついた。
それに、サッカーができないんじゃ、サッカー推薦の大学にも行けなくなるし、今から勉強したってもう遅いし、サッカー部のやつらや他の同級生から同情の目で見られたくないし…。
それで、もうこれ以上壊されたくないから、俺は自分の世界に引きこもるようになった。
必要最低限以外の外との関りが、面倒になって、何もかもにむかついて、それで…。
何てこと言ってるけど、必要最低限の関りとか言ってる時点で、結局その引きこもりも中途半端なもんなんだけどさ…。
ただ、もうサッカーができないっていうだけなのに、他のことする勇気がなくて、面倒くさいことから逃げて、楽な道を選んでるだけなんだけどさ…。
それに、今の聴いて分かる通り、悪いのは全部俺なのに、あいつは…キャプテンは、自分が全部悪いって今でも思ってる。
あの日も、俺以上に泣き叫んで、必死で謝って、土下座して、医者にも頼み込んで、
『絶対治してください！』『俺の足でよかったらいくらでも使っていいですから！』とか、訳の分からないことばっかり言ってたな。
だからあの時の俺は、あいつは悪くないって分かってたのに…全部あいつのせいにしてしまった。
それが、一番楽な選択だったから。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年1月11日 18時
