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「ご馳走様…」
俺はこの先、どうやって生きてくんだろう。
こんな風に毎日を過ごす俺には、どんな未来が待っているんだろう。
それを考えると、なんの想像もつかず、どうしようもない虚無感と恐怖感に支配され、俺は目の前の空になった皿を放り投げていた。
陶器の食器が割れる音。
それが床に散らばる音。
あの日の俺みたいに、何もかも崩れ去っていく音が静かなキッチンに響き渡る。
「はぁ…何やってんだろ、俺…」
ため息混じりの俺のそんな言葉も、この静寂の中に消えていく。
でも、その静寂は玄関の外のインターフォンが掻き消した。
今朝と同じように、インターフォンのベルが鳴る。
それは今朝だけではないが。
もう約一年も続く、インターフォンの合図。
だけど、この時間に鳴ることはあまりない。
だとすれば、俺以外のこの家の住人に用事のある人物が訪ねてきたのだろうか。
まぁ、それを確認するのも面倒なので、得意の居留守を使うことにするか。
再びインターフォンが鳴る。
このしつこさは、やはり今朝と同じ人物か。
だとしたら、尚更出るわけにはいかない。
ピンポーン。
と、またもインターフォンが俺を呼んでいる。
食事を終えた俺は、部屋に戻るために二階へと続く階段へ向かう。
しかし、階段は玄関の前にあるため、丁度玄関を通り過ぎる。
何故だろうか。
今日の俺は玄関の扉の覗き穴から差し込む小さな夕日の光が気になって、まるでそれに吸い寄せられるように裸足で玄関に降りていた。
冷たい石畳の床が俺の足の裏をひんやりと包み込む。
そして、俺はゆっくりと日が差し込む覗き穴を文字通りに覗き込んだ。
外では、逆光で真っ黒なシルエットになった制服姿が立っている。
表情はよく見えないが、思った通り、今朝と同じ人物の様だ。
せっかく珍しく俺がこんなことをしているのに、外の景色はまるで珍しくもない。
さっさと部屋に戻ろう。
そう思って踵を返したのだが、俺の右足の踵がまるで言うことを聞かない反抗期の子供のように、玄関のドアにぶつかって、ドンっと音を立ててしまった。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年1月11日 18時
