ジュブナイリズム【M!LK】前編 (ページ11)

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一年前は、二年生だった佐野先輩がキャプテンだった。
そう、あの人が。
でもあの日、佐野先輩は俺達には何も言わず、勝手にサッカー部を辞めていった。
残された俺達の気持ちなんてこれっぽっちも考えずに。
正直俺はあの人が心から憎い。
もちろん、大会の直前にこの部を去ったのはもちろん、板垣先輩に"したこと"ももちろん。
だけど、あれは…。
それ以上に、辞めるってことについて、俺達に何一つ言ってくれなかったことが、腹立たしくて仕方ない。
あんなに楽しくやってたじゃないか。
あんなに真剣にやってたじゃないか。
俺達は、一つのチームだったじゃないか…。

俺はあの人の事、かなり信頼してたし、その腕前も、尊敬してた。
だけどあんなことになって、勝手に辞めてしまって、俺は裏切られた気持ちでいっぱいだった。

「なぁ…。もう佐野先輩の事許してあげようよ…」

舜太は優しいから、そんな風に俺を諭してくる。
でも俺はきっとあの人を心から許せる日は来ないだろう。
だってもうこの限られた時間は、二度と戻らないんだから。
それほど、俺はあの人が憎い。
だから俺は、こう答えるんだ。

「絶対、無理」

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