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「吉田、怪我はないか？」
体育教師の声が聞こえ、俺は「大丈夫です」と、答えた。
顔がひりひりと痛むが、それ以外は特に問題はなさそうだ。
「パスが来てるのに、よそ見してたら危ないだろ、まったく」
あぁ、そうか。
俺が佐野君に見惚れてる間にバスケットボールが飛んできたっていうわけだ。
だけど、こんな風に佐野君が抱き起してくれたって思えば、決して悪いことではなかったのかもしれない。
「とりあえず、もう授業は良いから、着替えて保健室行ってこい」
体育教師がそう言う中、小さな声で「立てるか？大丈夫か？」とずっと俺に気を使ってくれる佐野君に支えられて立ち上がり、俺は更衣室に戻ることになった。
「俺も付いて行こうか？」
「だ、大丈夫。一人で行けるよ…。ありがとう、佐野君」
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年1月11日 18時
