不思議の国のわたし〈ヴィランズ手下〉 (ページ7)

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花火ページ7

「……ねえ……A…」

学校の休み時間。
私を呼び止めたのは花火だった。

瑞季は、今日は風邪で欠席なので、後で花火とお見舞いに行くつもりだ。

「どうしたの？花火」

「………来て」

手招きした花火を見て、私は小首を傾げた。
そんな私を横目に、花火はずんずん歩いていく。

着いたのは、体育館裏だった。

「何々？花火さぁん。私に告白でもするつもりですかぁ？」

「ある意味……告白……違う…意味の…」

違う意味の告白？
一体何を告白されるのだろう。

「A……ワンダーランドに行くのは……辞めた方がいい…」

予想もしなかった言葉に、私は硬直する。
……信じてないんじゃ、無かったんだ。

「念のため聞くけど、どうして…？」

「いつか……出れなくなるかも……しれない……し、絶対……いつか……辛いことが起きるよ…だから……夢に、囚われちゃ…だめ」

いつも無表情の花火の瞳が、潤んだ気がした。

「な、何で分かる、の？」

「………」

花火は切なげに目を閉じた。
きっと、話したくないというアイズだろう。

だけど、そんな事を言われても、私の頑固な心が変わるはず無かった。

「忠告ありがとう、花火。だけど、私は本気でジャックが好きだから。絶対諦めるつもりはないの…だから…ごめん」

深く頭を下げると、花火は目をつむったまま、首を振った。それがどういう意味かは分からなかった。