僕たちの帰る場所3 (ページ5)

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広がる不安ページ5

fk side

始まりは一通のメールだった。
差出人欄には見知らぬアドレス。開いてみると、

『おはよう、今日会いに行くからね』

の文字。
今日は通常の営業日だし、そんな約束はなかったはずだ。間違って届いたのだろうか。

間違いならまあいいか、と大して気にもとめず、その日も普段通り出勤し、仕事をしていた俺。
特に店に誰かがやってくることもなかったから、やっぱり間違いメールだったんだなあと思っていたんだけれど…

営業後にみんなで飲み始める段になって、再び携帯が鳴った。
そして、届いていたメールを開くと、そこにはなんと

『今日は楽しかったよ。またね、辰哉くん』

と表示されていたのだ。

名指しされている衝撃。そして、知らないうちに誰かと会ったことになっている衝撃。
何かの嫌がらせだろうか。それにしても、全く心当たりがない。

sk「ふっか、どうかした？」
fk「いや、なんか迷惑メールみたい」

とりあえず誤魔化してみたものの、疑問は尽きない。

まず、そもそもこいつは誰だ？俺の名前とアドレスを知っているということは、知り合いか…？
だけど、俺はほとんどの友達からふっかと呼ばれていて、辰哉くんなどと呼ぶ知り合いはあまり思い浮かばない。

知り合いでないとしたら、こんなメールを送ってくる理由は何だ？
俺は何か、見知らぬ人の恨みを買うようなことでもしたんだろうか。
でも、そうだとしたら、楽しかったって何のことだろう…？

考えれば考えるほどわからなくなって、不安が広がっていく。
でも、これはまだ序章でしかなかったんだ。