. ページ50
ru side
昔から、一度気になり出したら止まらない性分だ。
それからというもの、僕は毎日屋上に通い詰め、彼女と話すチャンスを伺う日々が続いた。
でも、彼女が来るのはせいぜい週2回。20分間の昼休みにぽつぽつ話すくらいじゃ、無口な彼女のことはなかなか分からなくてもどかしい。
だからこそなのか、僕の気持ちは膨らんでいくばかり。
(もしかして、これを恋って言うのかな…)
それで、テスト期間の終わったある日、僕は意を決して彼女にこう話しかけたんだ。
「今度、2人でどこか遊びに行かない?」
彼女は一瞬意外そうな顔をした後こう答えた。
『動物、好き?一度行ってみたかったところがあるんだけど』
数日後、僕たちは最近この街に出来たという猫カフェに来ていた。
『付き合わせちゃってごめんね。こういうところに一緒に来るような友達いないから困ってたんだ』
「いや、元はと言えば俺が誘ったんだし。…まあ、北野さんが猫カフェに来たいなんて意外だったけど」
『もう、それ言わないでよ、気にしてるんだから』
「ごめんって。何か飲む?ココアとか?」
『コーヒーかな。甘いのあんまり得意じゃなくて』
そうなんだ。それは新情報だなあ…
『ねえ、この子すごく可愛い』
気がつくと、彼女がいつのまにか猫たちの方へ移動していた。
そのうちの1匹、白いシュッとした子猫が、早くも彼女の膝の上で丸まっている。
『なんとなく、ラウールくんに似てない?』
そう言って笑った彼女の顔が、いつもよりも無邪気で優しかった気がして、なんだか期待してしまう。
もしかして、彼女も僕のことを憎からず思ってくれているのだろうか。
その後も色んな話をして過ごす。
楽しい時間はあっという間で、また明日学校でなんて言って別れた僕たち。でも、僕の頭の中はすぐにまた彼女に占拠された。
そんな自分に気付いて、これは重症だなあなんてため息をつく。
次の日は久々のバイト。
店ではちょうどバレンタインのイベントが佳境で、僕も彼女からチョコが貰えたら幸せなのになんて想像してしまう。
…でも彼女、甘い物は苦手って言ってたな。バレンタインも好きじゃないかな。
そんなことを考えていると、照くんが悩める僕の心境を一発で当てたから驚いた。僕そんなにわかりやすいかな…
そういえば、彼女は僕の気持ちに気づいているんだろうか。
705人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わかめ | 作成日時:2020年1月27日 9時