僕たちの帰る場所2 (ページ34)

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kj side

シャトルバスに揺られること十数分。
辿り着いたのは、広い芝生の上にいくつものシートが並べられた、不思議な空間だった。その足下を、最低限の街灯だけが照らしている。

『お好きなシートを選んで寝転がってください。あと5分少々で、全ての街灯を落とします』

アナウンスを聞いて、俺はめめと共に真ん中あたりのシートに陣取った。

mg「あー気持ちいい。空気もいいし、最高だな」
「せやな。寝てまいそう」

なんて言ってみたものの、寝てしまいそうだなんて真っ赤な嘘だ。
ふっかさんがくれたせっかくのチャンス。
めめに聞きたいことは沢山あるのに、うまく言葉が出てこなくて、気持ちばかりが焦る。

結局、ビビリな俺が何も核心に触れられないうちに、高らかなカウントダウンが始まった。
『みなさん、準備はよろしいですか？それでは、消灯まで5秒前、4,3,2,1…』

目を開けると、そこに広がっていたのは、今まで見たこともないような数の星の光だった。

mg「すげえ…」
めめも思わず声を漏らしている。その横顔がすごく美しくて、俺にはもう全然届かないような気がして、なんだか切ない。

「綺麗やな…」
mg「まさか、康二とこんな景色を見る日が来るなんてな」
すると、なんだか不思議なことを言い出すめめ。

「どしたん、急に」
mg「いや、俺たち2人でいると、いつもふざけてばっかりだろ？だから、こういうロマンチックなことしてるのがなんか新鮮で」

「まあ、俺にはあんまり似合わへんよな」
mg「いや、俺はお前と来られて嬉しいよ。お前が俺の1番のファンって言ってくれたこと、ずっと大事に頑張って来たんだから」

なんと、めめの方からこういう話題を振ってくるなんて、神様は弱虫な俺に味方してくれたみたいだ。

「でも、もう俺は必要ないんとちゃうか。今まで、めめのこと一番わかってやれんのは俺やって自惚れてたけど、最近はもう自信ないねん。
もしかしたら他の人の方が、その…」

mg「もしかして阿部ちゃんのこと気にしてる？確かにすごい人だと思うし、最近は仲良しだけど、だからって康二と俺の関係は変わんねえよ」

それでもなお、クールな表情を崩さないめめ。
「ありがとな。それ聞いて安心したわ。…なんか恥ずかしくなってきた。今の忘れて」
mg「嫌だ。忘れてなんてやらねえ」

そういうと、めめはくしゃっと俺の頭を撫でた。