冬の神話 ページ33
ab side
sk「阿部ちゃん…」
さっきの宴会で酔いが回ってしまったらしい佐久間。みんなといる時は取り繕っていたけれど、部屋に戻った途端に糸が切れたように倒れ込んだ。
最近忙しかったみたいだから、無理もないよな…
「大丈夫?お水飲む?」
俺の差し出した水を煽るように飲み干してなんとか落ち着いたものの、まだぽわぽわとしている佐久間を見て、酔い覚ましに2人でベランダに出ることにする。
sk「ごめんね阿部ちゃん。セーブしたつもりだったんだけど」
「いいのいいの。最近ずっと休んでなかったでしょ?疲れてるんだよ。あんまり無理するなよ」
sk「うう…阿部ちゃんだって忙しいのに、ずっとフラットじゃん」
そう言ってしゅんとする佐久間を見て、なんだか子犬みたいだなあ、なんて呑気なことを考える。
「そうでもないよ。困ったときはお互い様」
そう言って励ましてみるけれど、効果のほどは不明だ。そのまましばらく、2人で風の音を聴いて過ごす。
「…そろそろ時間だけど、行ける?」
sk「うん、おかげでだいぶ元気になった」
佐久間がそう言うので、集合場所のロビーへと向かった俺たち。どうやら、他はもうみんな揃っているみたいだ。
sk「みんなお待たせー!」
fk「よし、これで全員揃ったな。えー、こっからシャトルバスで、山の上のとあるスポットに向かいます。そこ、星がめちゃくちゃ綺麗に見えることで有名なんだ」
その言葉にみんながざわめく。
mg「え、ふっかさん意外とロマンチストなの?」
kj「ふっかさんイケメンー!」
fk「だろ?」
iw「自分で言うか」
予想通りにいじられるふっか。
佐久間はというと、元気に振る舞っているけれど、やっぱり不調が隠し切れていない。
だから俺はみんなの盛り上がりをよそに、こっそりと佐久間に寄り添う。
fk「阿部ちゃん、佐久間のこと頼むな。たくさん構ってやって」
そんな俺たちの様子をふっかが目ざとく見つけて、俺に耳打ちしてきた。こういうところは流石だ。
(構ってやってって何だよ…)
でも、この時の俺は、そんな風に思っていた。
あいつの元気がない理由の一端が自分にあるなんて、考えてもみなかったんだ。
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作者名:わかめ | 作成日時:2020年1月27日 9時