僕たちの帰る場所2 (ページ23)

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3曲目。俺たちにとって、とても大切な曲。
衣装合わせの時、翔太と話したのを思い出す。

nb「俺たち、この曲をずっと大事に踊っていくんだと思う。
中学の時は、ひたすら大人っぽさを追い求めた曲だったけど、今は等身大の曲になった。だから、衣装もカッコよさはありつつ、どこかハズしたアイテムを入れてみたりしてさ」

「流石翔太。俺たちが過ごしてきた年月に伴って、この曲と俺たちの関係も変わっていくんだな」
nb「うん、俺さ、それをずっとそばで感じていたいって思うんだ。だから、これからもみんなで一緒にいようね」

「…翔太ってたまにいいこと言うよな」
nb「たまには余計だからな」

そんな曲だから、ふっかの口上にもあった通り、振り付けもみんなバッチリ覚えていた。でも、今回はガチガチに固めた振りではなく、それぞれ衣装を生かした遊びを入れつつ踊る方向に決めた。

例えば俺はハットに手を添えてみたり、回してみたり。照が腰に巻いたストールをはためかせているのもかっこいいし、ふっかのネクタイを緩める仕草は色っぽい。
阿部ちゃんはジャケットプレイ、佐久間は得意のキャップ芸、そして翔太は髪をかきあげる仕草で見せるピアス。

他にも、色んなアイテムやアクセサリーを使いつつ、オシャレに余裕ぶって踊る。
その度に、観客席からは黄色い声が上がる。
あのレビューじゃないけれど、本当にアイドルになったような気分だ。

こうして改めて見てみると、つくづく、この衣装をコーディネートした翔太とめめのセンスに脱帽せざるを得ない。

そんなことを考えていると、阿部ちゃんがふいに腕を上げてくるっと回した。
まくれたジャケットから伸びる腕には、あのブレスレットが光っている。
もちろん、視線の先にはめめ。めめも気付いて、阿部ちゃんに手を振り返している。

それを見てふと思う。
俺たちは6人でひとつと思っていたけど、それだけじゃない。康二もめめも、もう俺たちにとってすごく大事な存在になっているんだ。

やがて曲が終わると、ふっかがちょっぴり店の宣伝をしながらショーを締め、俺たちは大きな拍手に包まれながらステージを後にした。

これはすごい宣伝効果が期待できそうだ。明日から忙しくなるぞ…