僕たちの帰る場所2 (ページ22)

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fk side

久々にステージで踊ってみて思う。やっぱり俺はステージが好きだ。この快感は一度味わったらもう忘れられない。

1曲目で上がった熱量をそのままに、2曲目がかかる。照が佐久間を中心に据えて振ったというダンスナンバーだ。

静かに抑えた振りから始まり、フォーメーションで徐々に変化をつけていく。

俺は照のダンスも相当好きだけど、その照が中学の時から敵わないと言っていたのが佐久間だった。
実際佐久間のダンスの上手さは相当なもので、仲間内で唯一ダンスに関わる仕事についたのも納得がいく。

何よりあいつは、踊ると人が変わる。
特にこういうゴリゴリの曲だと、普段のふざけ倒している姿からは想像もつかないくらい鋭く、色香を放つんだ。

今だって、お客さんが次々と目を奪われていく。悔しいけれど、この曲で佐久間をメインに持ってきた照の判断は大正解だと思う。

さあ、もうすぐ来るぞ…この曲最大の見せ場、佐久間がみんなを操っているような振り付けからの、6人一糸乱れぬ動きで激しく踊るサビ。
細かくて手数が多いから、練習はものすごく苦労したけど、みんなで聴き込んで踊り込んで、最後には素晴らしいパフォーマンスが完成したんだ。

iw「これだけ練習したんだから大丈夫だ。本番はもう何も考えなくていい。音を感じるままに、踊れ」

前日のリハで、照はそういった。
その言葉通り、極限まで音楽と自分の世界に集中する。すると次第に周りの景色も見えなくなっていく。けれど、体の中をはしる熱だけは、増していく一方だ。

間奏にはそれぞれちょっとだけソロパート。
都度上がる歓声が心地いい。俺もとびきりかっこよく決めてやる。

そして、再び来たサビを踊りきり、2曲目が終了した。湧き上がる拍手に、我に返って安堵する。

一息ついたあと、俺はまたマイクを握った。
次の曲紹介は難しい。想いが溢れて、なんと言っていいかわからなくなる。それでも何とか、言葉を紡ぎ出す。

「えー、皆さん楽しんでいただけていますでしょうか。残念ながら、次が最後の曲になります。僕たちがダンス部で初めてステージに立った時の曲で、振り付けもみんなバッチリ覚えているくらい、強く思い出に残っている一曲です。それではご覧ください」

さあ、ラストスパートだ。