発想の転換 ページ9
fk side
その後もコスト削減メニューの開発は続いたが、舘さまをはじめみんなが納得する商品を出すためには、やはり目標額達成は難しいと思われた。
となると、どうしても別の方策が必要だな…
mg「うっす。いつもので」
kj「ふっかさんどしたん？顔めっちゃ険しいで」
そこに康二とめめが現れ、俺の思考は一時中断を余儀なくされた。
2人ともいつもは人目を気にしてか、目立たない黒い服で来店することが多かったのだが、今日はなぜかお揃いのかわいいブルゾンを着ている。
「あーちょっと、店の経営のことで考え事。てかお前らこそどうした、ペアルックって」
kj「たまたまやねん。俺が持ってた服と同じの、めめがプレゼントでもらったらしくて」
mg「あ、でも、今日着てくるのは相談してた。これ着たら目立って顔バレしちゃうかもしれないじゃん？だからまずはこの店で実験」
「お前らなぁ…この店をなんだと思ってんだよ」
kj「え、ダメ？」
俺の言葉に、康二がわざときょとんとした顔をしてみせる。前の広告会社にいる時にも何度も使われた、康二の必殺技だ。この人懐っこい顔を見ていると、不思議と何でも許せてしまう。
sk「おー目黒、康二も、来てたんだ」
そこに佐久間もやってきた。
mg「あ、佐久間くん、こないだ連絡もらった例のレビュー、見ましたよ」
「例のレビュー？」
sk「ほら、あの、俺らをアイドルに見立てたやつ。本物の芸能人はどう思うのかなって気になっちゃって。めめに送りつけといたの」
全く佐久間は何してるんだか。というか、いつめめの連絡先を手に入れたんだ。
kj「俺も一緒に見た。びっくりしたわ」
mg「でも俺、ちょっとその気持ちわかるかもって思った。みんなすげぇ一体感あるし、キラキラしてるし、確かにアイドルっぽい」
kj「まあ言われてみれば…元ダンス部やから踊れるしな」
mg「そう、それ。俺みんなが踊ってるとこ見てみたいなって思ってて。お店でなんかやってよ」
「はい？」
芸能人って、やっぱりちょっと変わった人が多いんだろうか。めめのおかげで話が変な方向に向かってきたぞ…
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年1月27日 9時
