僕たちの帰る場所 (ページ22)

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籠の鳥ページ22

ab side

俺が跡継ぎにならない宣言をした後、両親は慌てて弟を跡継ぎに据えようとしたらしい。
でも、弟はそもそも勉強が得意な方ではなかったし、俺の姿を見ていたせいか、親への反発心も凄かった。

最初は押さえつけられて頑張っていたみたいだけど、最終的には上手いこと逃げ出してしまって、跡継ぎの件も断固拒否。

それで、俺に再び白羽の矢が立ったってわけ。

会計士として病院に置いてやるから戻ってこい、そして、親の決めたいいとこの女医さんと結婚して、2人で病院を支えろってことなんだそうだ。

全く、俺たち兄弟を病院のための駒としか思ってないんだろうか。

そんなの絶対に嫌だった。
けれど、俺が断ると、親父は大病院のコネを使って、俺の勤める会計事務所のクライアントに圧力をかけるようになった。
ことごとく依頼を潰された事務所は風前の灯で、いよいよ追い込まれた俺は、ついに実家に戻ることを決めたんだ。

「ただいま」
『おお亮平、帰ってきたか。例の件、考えてくれたんだろうな』

…久々に帰ってきた息子に対する第一声がこれとは、やっぱり親父は俺のことなんて見えていない。

「うん、受けるよ」
『それでこそ私の息子だ』

わかってはいたものの、こうも変わらない親父の姿を見ると虚しくなる。
それに、結局最後まで親に反抗しきれなかった自分にも嫌気がさしてくる。

でも一方で、こんなんでも正真正銘俺の家族なんだって思いもあって、離れられない。

ごめんな、佐久間、みんな。
俺、やっぱり昔のままだ。

ｰｰｰｰバイバイ。