20回振ったあの子は灰谷姉でした

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そこから程なくたった頃だ。


ブラックドラゴンがダークフェニックスに勝った。と知らせを受けたのは。




ダークフェニックスをも吸収したブラックドラゴンは瞬く間に日本を制圧して行った。







『天下統一か』





六本木のど真ん中
ビルの屋上。
六本木の夜景がよく見える。



風が冷たくなった。夜風は刺さるように痛い。



『お前はどこまで行くんだ佐野』



遠い。あんなに近かったと思えていたものが遠く感じた。



私はまだ六本木すらも完全に仕切れていないというのに。



手を伸ばして光を掴むようにグッと手を握った。



ﾋﾞｭｵｯと風が髪を攫っていく。

思わず目を閉じた。



プルルとポッケのケータイが音を立てる。



目を閉じたまま画面を見ずに電話に出た。



『もしもし』



「おう、久しぶりだなA」



パッと目を開く。



『は？…佐野？』


「久しぶりすぎて声忘れたか？
てかお前今どこにいんの」


風の音やべーけど。という佐野の声は全く変わってなくて遠く感じてたのは私だけなのかと思ってしまう。



『六本木のビルの屋上』



「は？んなところで何やってんだよ」



少し笑いながらいう声も変わらない。


あの公園で待ってる。そう言った佐野の声は相変わらず優しい。



『えーーせっかく頂点とった気分味わってたのに』



なんて言いながらも屋上へ出てきた時に通った扉を開ける。


パタンと後ろで閉まった扉に風の音は止んだ。



タンタンと1階分階段を降りてエレベーターのボタンを押す。



「ふざけたこと言ってねぇでさっさと来い」



『急かすならエレベーターに言って』



ははっと笑う佐野に切るよ。と言うと切らなくていい。と返ってくる。


『え、走って行こうと思ってたのに』


「んな急がなくていいぞ
気をつけて来い」



『寒いじゃん』



「気にすんな『私が』


「お前かよ」



2人してケラケラと笑う。



チンと開いた扉を抜けると人混みに入る。



夜の六本木も慣れた。



『みんな元気？』



「変わらねぇよ
あいつらもAのこと気にかけてたぜ」


『そっか元気ならよかった』



もう着く。と言い電話を切る。



公園の入り口に見覚えのあるバイク。



公園の中を見ると、公園の街灯に照らされてブランコの周りを囲う柵の上に軽く腰を下ろした人物の影が見えた。



バイクの横を通り公園に入る。

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