1、かくしごと ページ3
「ア…ソボウヨ……」
何かに怯えつつ、私に訴えてくる生き物。
休日はいつもここの公園は子供達でいっぱいになるはずなのに、誰一人として、その生き物に見向きもしなかった。
私は気になってその生き物に近づく。
「A!!」
もう少しで私の指先が謎の生き物に触れる瞬間、母が叫ぶように私の名前を呼んだ。
そのまま母に抱かれ、母が大きく腕を振った瞬間、その生き物は弾けるように姿を消してしまった。
お母さんはなんであんな可哀想だった生き物を消してしまうのだろう。
私は母に抱かれたまま家に連れてかれた。
「A、あれは"呪霊”って言うのよ。あれは危険だから絶対に近づかないで。」
あんなに真剣な顔をしたお母さんを見たのは生まれて初めてだった。
それから、念を押すように「これはお母さんとAとの秘密だからね。もしまた呪霊を見たとしても_その場から離れて知らんぷりするのよ。」と言った。
お母さんはその日ずっと誰かと電話をしていた。
「何のお話してるの?」と聞いても「あっち行ってて」と追い払われるし、もう今日のお母さん何なの嫌い!
お母さんは偶に、夜遅くまでお仕事をする日があった。
私にはお父さんがいないから、そういう日は一人寂しくお留守番をしていた。
お母さんはお仕事何してるのかって聞いても、お母さんは溜息ばっかで全然教えてくれなかった。
117人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ふぅあ | 作成日時:2023年2月21日 21時