検索窓
今日:8 hit、昨日:6 hit、合計:52,413 hit

ご注文は?:hira ページ13

とある小さな喫茶店、雰囲気が気に入り入店するとチリンチリンと入店を知らせる鈴と共にいらっしゃいませ。とメニューを持ちながら言う彼に私は一目惚れをした

かたん、と椅子を引き静かに席に付けば、あのウエイトレスさんは私の席へと向かってきた。私一人あわあわとしているとウエイトレスさんは持っていたメニューを私の目の前に置いた

「ご注文は如何なさいますか?」

そう言いながらおもむろにハンディを開く。ああ、注文は貴方で!!なんて言えるはずなんてなく、私は特に決まってもないのに何となくコーヒーで、と答えた。はずだった

「ご注文は僕ですか」

ぴきん、と周りが凍った気がした。なんと私は「注文は貴方で」なんてくさすぎて笑えない台詞を真顔で言ってしまっていたらしく、周りを見回せばくすくすと笑う客と、ぎゃはぎゃはと笑う背の高いウエイトレスさん。そんなウエイトレスさんを叩く綺麗な女性も小さくだが吹き出していたのを私は見てしまった

「わ、わす、忘れて下さい…」

恥ずかしさのあまりに私はメニュー表で自分の顔を隠す、ああ、穴があったら入りたい状況なんてそうそうないと思っていたけれど、まさに今現在の状況がそれに値するんだと実感した。むしろ穴が無くても掘ってでもして入りたい、そして埋めてくれ

「っふ、くっ、また全部声に出ちゃってますよ」

ふふふ、と笑う彼の胸元にある名札にはヒラと書かれていて、あ、ラッキー名前知れたなんて少しの幸福を感じつつもやはり羞恥心がどっと押し寄せてきた。先ほどはくすくすと静かに笑っていた客も段々とわかりやすく笑うようになり、背の高いウエイトレスさんは爆笑を通り越してプルプルと震えていた。横にいる綺麗な女性もバシバシと背の高いウエイトレスを叩きながら笑っていた

ああああ帰りたいよし帰ろう!と私はすいませんと謝りながら隣の椅子に置いておいたバッグを持ち、席を立てばヒラさんは私の腕を優しく引いた

「僕、あと少しで上がりなんです」

は?と何か言いたげな背の高いウエイトレスを綺麗な女性が黙りなさいと阻止して、ヒラさんは続ける

「だから、少し待ってて下さい」

「へ?」

訳もわからず変な声を出してしまう。それは、その、つまり。と私はしどろもどろになりながらも続けようとすると、ヒラさんはふわりと可愛らしく微笑んだ


「だって、ご注文は僕なんでしょう?」

冷めないうちにどうぞ、なんてね!と言う彼に私は保温剤も付けてお願いしますと返した。

└ご注文は?について。→←リクエスト募集



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
97人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

冷蔵庫(プロフ) - 私のアール、いい歌ですよね!更新がんばってください! (2015年10月24日 13時) (レス) id: 78ce81bc5a (このIDを非表示/違反報告)
@-1 - 惚れた弱味の続きをまたリクエストしたいです…全てのリクエストが終わってからでもいいので!よろしければ…しつこく何度も申し訳ないです;; (2015年10月18日 12時) (レス) id: 301a518ebc (このIDを非表示/違反報告)
猫丸(プロフ) - またまたリクエストしてもよろしいでしょうか?牛沢で喧嘩からの仲直りでよろしければおねがいします!! (2015年10月18日 12時) (レス) id: babea98844 (このIDを非表示/違反報告)
珠里(プロフ) - 猫丸さん» こちらこそリクエストありがとうございました! (2015年10月17日 14時) (レス) id: abad90d4a2 (このIDを非表示/違反報告)
猫丸(プロフ) - 牛沢のお話読ませていただきました!ありがとうございます!! (2015年10月17日 13時) (レス) id: babea98844 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:じゅり | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2015年10月4日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。