ご注文は?:hira ページ13
とある小さな喫茶店、雰囲気が気に入り入店するとチリンチリンと入店を知らせる鈴と共にいらっしゃいませ。とメニューを持ちながら言う彼に私は一目惚れをした
かたん、と椅子を引き静かに席に付けば、あのウエイトレスさんは私の席へと向かってきた。私一人あわあわとしているとウエイトレスさんは持っていたメニューを私の目の前に置いた
「ご注文は如何なさいますか?」
そう言いながらおもむろにハンディを開く。ああ、注文は貴方で!!なんて言えるはずなんてなく、私は特に決まってもないのに何となくコーヒーで、と答えた。はずだった
「ご注文は僕ですか」
ぴきん、と周りが凍った気がした。なんと私は「注文は貴方で」なんてくさすぎて笑えない台詞を真顔で言ってしまっていたらしく、周りを見回せばくすくすと笑う客と、ぎゃはぎゃはと笑う背の高いウエイトレスさん。そんなウエイトレスさんを叩く綺麗な女性も小さくだが吹き出していたのを私は見てしまった
「わ、わす、忘れて下さい…」
恥ずかしさのあまりに私はメニュー表で自分の顔を隠す、ああ、穴があったら入りたい状況なんてそうそうないと思っていたけれど、まさに今現在の状況がそれに値するんだと実感した。むしろ穴が無くても掘ってでもして入りたい、そして埋めてくれ
「っふ、くっ、また全部声に出ちゃってますよ」
ふふふ、と笑う彼の胸元にある名札にはヒラと書かれていて、あ、ラッキー名前知れたなんて少しの幸福を感じつつもやはり羞恥心がどっと押し寄せてきた。先ほどはくすくすと静かに笑っていた客も段々とわかりやすく笑うようになり、背の高いウエイトレスさんは爆笑を通り越してプルプルと震えていた。横にいる綺麗な女性もバシバシと背の高いウエイトレスを叩きながら笑っていた
ああああ帰りたいよし帰ろう!と私はすいませんと謝りながら隣の椅子に置いておいたバッグを持ち、席を立てばヒラさんは私の腕を優しく引いた
「僕、あと少しで上がりなんです」
は?と何か言いたげな背の高いウエイトレスを綺麗な女性が黙りなさいと阻止して、ヒラさんは続ける
「だから、少し待ってて下さい」
「へ?」
訳もわからず変な声を出してしまう。それは、その、つまり。と私はしどろもどろになりながらも続けようとすると、ヒラさんはふわりと可愛らしく微笑んだ
「だって、ご注文は僕なんでしょう?」
冷めないうちにどうぞ、なんてね!と言う彼に私は保温剤も付けてお願いしますと返した。
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冷蔵庫(プロフ) - 私のアール、いい歌ですよね!更新がんばってください! (2015年10月24日 13時) (レス) id: 78ce81bc5a (このIDを非表示/違反報告)
@-1 - 惚れた弱味の続きをまたリクエストしたいです…全てのリクエストが終わってからでもいいので!よろしければ…しつこく何度も申し訳ないです;; (2015年10月18日 12時) (レス) id: 301a518ebc (このIDを非表示/違反報告)
猫丸(プロフ) - またまたリクエストしてもよろしいでしょうか?牛沢で喧嘩からの仲直りでよろしければおねがいします!! (2015年10月18日 12時) (レス) id: babea98844 (このIDを非表示/違反報告)
珠里(プロフ) - 猫丸さん» こちらこそリクエストありがとうございました! (2015年10月17日 14時) (レス) id: abad90d4a2 (このIDを非表示/違反報告)
猫丸(プロフ) - 牛沢のお話読ませていただきました!ありがとうございます!! (2015年10月17日 13時) (レス) id: babea98844 (このIDを非表示/違反報告)
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