*†*・*†赤鼻トナカイと最低サンタ【Jun&Sho】†*・*†* (ページ21)

今日:18 hit、昨日:14 hit、合計:198,673 hit

２１ページ21

・

・

電柱の影に隠れて、家の前で泣いている女の子の前に姿なんて見せられませんでした。

本当は謝らなくちゃと思うのに

こんなみっともない姿を見せるのが、嫌でたまりませんでした。

・

・

僕は、世界一、悪いトナカイです。

・

・

Aちゃんはしゃがみこんでしまいました。

真っ赤なリンゴみたいな頬っぺたを伝って、いくつもの涙の粒が零れていきます。

泣き声はもう掠れてしまっていて

僕は、もうどうすればいいのか分からなくなりました。

・

・

・

そのときでした。

・

・

・

「Aちゃん」

・

・

通りの向こうから、聞こえた声。

赤い衣装では、ありませんでした。彼は普通の私服姿で

羽織ったキャメルのコートの肩には雪が少し降り積もっていました。

・

・

「おにいちゃん、だぁれ……？」

・

・

近付いてきて、目の前に立ったその人を

Aちゃんは潤んだ瞳で見上げました。

その人は、とても優しい。ズルいぐらいに優しい微笑を浮かべて言いました。

・

・

翔「遅くなってごめんね……メリークリスマス」

・

・

白いひげなんて生やしていませんでした。

けれど、彼はまぎれもない本物のサンタクロース

・

・

翔くんは、Aちゃんと同じ目線の高さになるように屈んで

手渡しで、白いウサギのぬいぐるみをプレゼントしました。