君に越された時計台 - 紫 ページ37
「はまちゃん！
ここで、言いたいことがあります！」
そう宣言した数メートル先にいる君があまりにも綺麗で全てが止まってしまったかのように見えた。
なんてことは無く今も横にある時計台はチクタクと音を鳴らせ、車は隣を何台も通り過ぎていく。
「なに？いきなり」
街は装飾されたLEDライトや車のライトのせいで光ってて、俺にとったら早すぎるクリスマス
「あのな！
俺、はまちゃんのことめっちゃ好き！」
どれだけうるさいライブハウスにいても、どれだけ沢山の人がいる場所にいても、君の声は聞き逃さないし、君の姿を見失うことはない。
なんの取り柄もないけどそんな自信だけはある俺。
だから、君の言葉を聞き間違えることもないと思っていたけど、聞き直したかった。
「どう？はまちゃん、キュンとした？」
君は笑って誤魔化そうとしたけど、俺がどれだけ君と一緒にいるのか、君のことを考えているのか考えて欲しい。
「俺も、大好きやけど」
本気の声だったのを聞き逃さない。
それより、聴き逃したくなかった言葉だから。その気持ちに気づいてほしくて、聞かせたことがあるのかすらわからない本気の声で返す。
「え、…あっ………えっ…？」
「やから、大好きやよ」
驚いた顔。というか、信じられないと言ったような顔。
「えっ、あっ……うん。………ほんとに？
嘘じゃない？俺の聞き間違いじゃないよな？」
小さく首を傾けてずっと疑問形。
そんな顔をされたら折角だから言わないでおこうと思った事がすらすらと出てくる。
「ほんとやよ。てかこっちのセリフやし。
俺が淳太に言おうって思っとったのにダメにしたんやからその分の落とし前つけてや」
「なっ、なら！今度はそれで俺のことメロメロにして。それでいいやろ？」
時計台の前。
ひとつの恋が終わり、ひとつの愛が始まる。
そんな予感。
ｅｎｄ．
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菻(プロフ) - つきみさん» ありがとうございます。そう言っていただけてありがたいです！期待に逸れるよう書かせてもらいます！ (2018年11月10日 15時) (
レス) id: 35348df3b1 (このIDを非表示/違反報告)
つきみ - 初めまして。 お話読ませていただきました！ 愛されている黄さんすごく可愛くて素敵でした。ハロウィンの続き、楽しみにしています。 (2018年11月9日 22時) (レス) id: 90baa9fa42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菻 | 作成日時：2018年7月10日 18時
