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「あの、」
「そうこうしてるうちに」
背中にヒリヒリとした感覚が蘇る。
セリナさんは美容師が使うような両面鏡を使って私に刻まれたユリを見せてくれた。
「わ………綺麗」
「ふふ、良かった」
「セリナさん、すごい」
セリナさんは私の背中をそっと撫でた。
セリナさんの手はひんやりしていて気持ち良かった。
「これからこの刺青のせいで、生きづらくなる事があるかもしれない。あなた達みたいな世界で生きる人間は、まだまだ差別の対象になるような世の中」
「…」
「でもね、名前ちゃんにはこのユリみたいに気高くあってほしい」
セリナさんがユリの輪郭をなぞる感覚がした。
いつか舜斗が言ってた。
『刺青を入れた時さ、痛かった、重かったよ。でも誇らしかった』
その気持ちがようやく分かった気がする。
「まだ1ヶ月くらいしか経ってないけど、この家が好きです」
学校にも行きづらくなってしまったけど、外にも出づらくなってしまったけど、人と関わるのが少し怖くなってしまったけど。
「ジュノン達のことは信じていいんですよね」
「勿論」
「なら、ジュノン達のために私はこのユリを枯らせない。…なんて、それっぽいこと言ってみちゃったり」
「ふふ、…是非枯らせないで。ずっと、一生」
鏡越しに目が合い、お互いに笑い合う。
やっぱりセリナさんは美人だった。
「名前ちゃん肌白すぎ。本当に映えるわ」
「そうですかね、ありがとうございます」
「え〜ちょっと……お願いがある、着物着てくれない?写真撮りたくなっちゃった。モデルになってくれない?」
「え?!…私なんかでいいんですか?」
「私こう見えて着付けの資格も持ってるのよ!ちょうど背中が会いたデザインの着物があったはず。服着てちょっと待ってて〜」
「え、セリナさん!…行っちゃった」
セリナさんはいても立ってもいられない様子で部屋から出ていった。
私は服を着る。
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モルペコ - すごく面白くて、何度も読み返しています!ジュノン、かっこいいですね! (2022年11月6日 12時) (レス) @page32 id: 57b4fe7556 (このIDを非表示/違反報告)
はまみん(プロフ) - さくらこさん» さくらこさんありがとうございます♡作者自身推しはリョウキくんなのですが、こうゆう系を書くならジュノンくんが一番似合いそうだなって思って書いてます笑もっとキュンキュンしてってくださいね💖 (2022年3月11日 19時) (レス) @page27 id: ddb0c5a515 (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - すごく面白いし、キュンキュンしてます! BE:FIRSTは推しが決まらなくて、メンバー全員大好きなのですが、この作品のおかげでジュノン推しになりそうです笑 これからも、更新楽しみにしてます✨ (2022年3月9日 16時) (レス) id: afb70c7110 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - こちらこそお返事ありがとうございます💓面白くて何度も読み返してます🔥更新が楽しみです! (2022年2月9日 21時) (レス) id: 0d99950192 (このIDを非表示/違反報告)
はまみん(プロフ) - みゆさん» みゆさんありがとうございます🥲是非これからも見てくれると嬉しいです♡ (2022年2月9日 20時) (レス) id: 1fce4fe5d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はまみん | 作成日時:2022年2月6日 0時