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Bite 52 ページ7










車を出さなかったことに、深い意味はなかった




帰り道に電車に乗らなかったのも、
特別な理由はなかった




… 理由があるとすれば、




ただ、なんとなく

久々に外を歩いてみたいような、そんな気がしたからで






ふと気が付いた頃には、
辺りは見慣れた景色に戻っていて

歩いてみて、初めて

隣町からあのアパートがそれほど遠くはないことを知った






視界に映る、見慣れた建物に

何気なく真上を見上げれば、
深い藍色の空は、雲で覆われていて





星の白い輝きも、月の光も

すべて、その雲に遮られてしまっていた









… 夜は、雨が降るのだろうか、









そんなことを考えながら、

視線を下げて

また一歩、その建物に歩みを進めた









…… その瞬間、だった









その影が、

私の視界に映り込んだ、その瞬間に


ドクン、と鈍い鼓動が、身体中に木霊した









薄暗いエントランスの街灯

その淡い光が浮かび上がらせる、その姿









入り口の扉に寄りかかるように座り込む、その人影に









咄嗟に身体が動いて

その影に駆け寄った









.









「ジョングク…… っ」









手を伸ばして、強くその身体を引き寄せれば

冷たくなったその髪が、私の耳を掠める









ヒールがアスファルトに引っかかる嫌悪感


冷たい地面に膝をつく抵抗


バッグが手から滑り落ちる感触









… そんなの、

何もかも、どうでもよかった









今はただ、この姿を

"彼"を、掴むことが出来れば

それだけで、十分で









冷たくなった彼の服をきつく握りしめれば

彼の手も、ゆっくり私の背中に回って

そのまま、ぎゅっと抱き寄せられる









その熱が身体に伝わるだけで

喉にかっと熱が集まった









… この感情が

今、私を支配する感情が、



"同情"なのか
"愛情"なのか



それは、分からない







……… 分からない、けれど








それでも強く思う









彼が、

… ジョングクが、








"愛おしくて、たまらない"と









.

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設定タグ:防弾少年団 , BTS , ジョングク   
作品ジャンル:恋愛
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Agust d(プロフ) - 夢主がナムジュンさんにプロポーズされたときの気持ちがすごく伝わりました。 ナムジュンさんがいい人すぎて余計に辛さを感じました これからも応援しています♪ (2019年10月14日 22時) (レス) id: fea73733b9 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま((くん))#チングさがし#元パク・モモ - 涙が止まりません……泣 心がギューって締め付けられるようです笑。素敵なお話でした!!!もうグクは帰ってこないのかと思いましたが、主人公と幸せになっている姿が見えます!!番外編とか見たいなー(小声)改めて、素敵なお話をありがとうございました! (2018年2月2日 9時) (レス) id: 2612f635ae (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - ジョングクが初めて過去を話し、愛を伝えた瞬間に涙が溢れました。孤独しか知らないジョングクと優しく見守る主人公の今までにない新鮮な物語にとても魅了されました。ジョングクの読者の知らない空白の3年間が気になりすぎて仕方がないです(笑)本当に感動しました。 (2016年12月28日 16時) (レス) id: 8614be4ddf (このIDを非表示/違反報告)
Jk - ええええええ。。。。終わっちゃったよ… 番外編とかみたかったです!!!グクが主人公に愛してるって言った瞬間もう本当に号泣しました。泣き声がうるさく妹に怒られるぐらい泣きましたね。本当にグクがやっと思いを伝えてもう完膚なき幸せです! (2016年12月23日 20時) (レス) id: 23efb5129a (このIDを非表示/違反報告)
ソジン(プロフ) - 主人公とグクが再会したシーンで涙が止まらなくなったのは私だけじゃないはず。すべて読ませていただきました!こんな素晴らしい作品を書いてくださった作者さんほんとにありがとうございます!これからも更新頑張ってください!!(*´ ˘ `*) (2016年6月20日 21時) (レス) id: e77b47a418 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠良 | 作成日時:2016年2月11日 0時

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