Bite 50 ページ5
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「… だから、パクさんから連絡があった時は、とても安心しました。パクさんが見つけた紙は、僕が最後に彼に会った時に彼に渡したものです。『何かあった時は連絡してくれ』と。… そして、同時にすごく驚きました」
「… え?」
…… 驚いた?
彼の言葉に首を傾げると、
ソクジンさんはそんな私を見て、また柔らかく微笑んだ
「彼と一緒に住んでいた、とおっしゃっていましたよね?それにすごく驚いたんです。あの状態で、他人と一緒に暮らすことが出来るのかと
… きっと、
パクさんは彼の中で、
他の人とは、何かが違ったんでしょうね」
そう言って、
白いカップに手をかけるソクジンさん
… 何かが、違った?
彼のその言葉を頭の中で反芻していると
「… あなたと一緒にいる時、
彼はどんな様子でしたか?」
きっと冷め切ってしまったであろうカフェラテを飲み込んで、ソクジンさんはそう尋ねた
「彼、は…… 、」
"いかないで"
"嫌だ"
"……… A、"
「いつも… 、
孤独を、恐れていました」
「…… 孤独?」
「ひとりになることを、すごく、嫌がっていて… 、」
そこまで言った瞬間、
まるで締め付けられているかのように、喉が熱くなる
紡ごうとした言葉は、熱を帯びた吐息に変わり、空気に溶けていった
そんな私に気付いてか、
ソクジンさんはそうですか、と静かに呟いた
「… たぶん、幼い頃に両親から切り離されてしまったから、何も信じられなくなってしまったんじゃないかと思うんです
誰も信用できなくて、
自分の殻に閉じこもったままで… 、
…… 僕には、彼が叫んでいるように見えました」
「… 叫んでる… ?」
「はい、」
ソクジンさんは一度頷いて、
また、唇に歯を立てた
「彼の腕の傷を見た時に、思ったんです
きっと… 、
自分の存在を、認めてもらいたかったんだと
彼が孤独を恐れていたのも、きっと、その時のトラウマのせいじゃないかと」
「………… 、」
その彼の言葉に、
また、息苦しいほどに胸が締め付けられた
彼の行為に滲む、
辛辣な痛みと苦しみ
それを感じた瞬間に
どうしようもなく、苦しくて
例えようのないほど、哀しくなった
「… そう、ですか…… 、」
最後に私が呟いた言葉は
弱々しく、その空間に霞んで行った
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Agust d(プロフ) - 夢主がナムジュンさんにプロポーズされたときの気持ちがすごく伝わりました。 ナムジュンさんがいい人すぎて余計に辛さを感じました これからも応援しています♪ (2019年10月14日 22時) (レス) id: fea73733b9 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま((くん))#チングさがし#元パク・モモ - 涙が止まりません……泣 心がギューって締め付けられるようです笑。素敵なお話でした!!!もうグクは帰ってこないのかと思いましたが、主人公と幸せになっている姿が見えます!!番外編とか見たいなー(小声)改めて、素敵なお話をありがとうございました! (2018年2月2日 9時) (レス) id: 2612f635ae (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - ジョングクが初めて過去を話し、愛を伝えた瞬間に涙が溢れました。孤独しか知らないジョングクと優しく見守る主人公の今までにない新鮮な物語にとても魅了されました。ジョングクの読者の知らない空白の3年間が気になりすぎて仕方がないです(笑)本当に感動しました。 (2016年12月28日 16時) (レス) id: 8614be4ddf (このIDを非表示/違反報告)
Jk - ええええええ。。。。終わっちゃったよ… 番外編とかみたかったです!!!グクが主人公に愛してるって言った瞬間もう本当に号泣しました。泣き声がうるさく妹に怒られるぐらい泣きましたね。本当にグクがやっと思いを伝えてもう完膚なき幸せです! (2016年12月23日 20時) (レス) id: 23efb5129a (このIDを非表示/違反報告)
ソジン(プロフ) - 主人公とグクが再会したシーンで涙が止まらなくなったのは私だけじゃないはず。すべて読ませていただきました!こんな素晴らしい作品を書いてくださった作者さんほんとにありがとうございます!これからも更新頑張ってください!!(*´ ˘ `*) (2016年6月20日 21時) (レス) id: e77b47a418 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠良 | 作成日時:2016年2月11日 0時