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この数年、
姉様は綱道を探してた。

きっと姉様は、
綱道と話をしたかっただろう。

その代わりを私が出来るかは分からない。

だけど姉様の想いを、意思を…。
綱道には語らなければいけないんだ。




A「何故、姉様を置いて江戸を離れた」

綱道「お前たち雪村家への復讐の為、
まがい物を作らなければいけなかったからだよ」

A「何故、姉様を養子に迎えた」

綱道「千鶴を引き取れば、
お前たち雪村家は私に手出しが出来ないと思ったからだよ」

A「甘い考えだね。
姉様の身に危険があると分かれば、
私たち雪村家は、いくら養父だとしても手に掛けるよ?」

綱道「そうなる前に、私が焼き払ってやったがね」




蟀谷(こめかみ)がピクリと動く。

正確には土佐藩の人間が焼き払ったのだが、
それを促したのは綱道だ。

こいつが焼き払ったと言っても過言ではない。




A「あんたの復讐は、ただの八つ当たりじゃない!
父様や母様は関係なかったはず」

綱道「そんな事は関係ない。
父親である勝道が初霜家でなければ、
私も雪村家を恨む必要もなかったな。
だから初霜家も全滅させた。
今やこの世に初霜家はいない」

A「あんたの出生について、
私がとやかく言うつもりはない。
けれど、あんたが手に掛けた勝道夫婦は、
あんたが産まれた事を酷く喜んだはずだ」

綱道「そんな事は知らないね。
こうなる運命だった。それだけの事だろう」




何処かで聞いた事のある言葉。

なのに言う人物が違うだけで、
こうも全身の毛が逆立ちそうになるのは何故だろう。

今すぐにでも、こいつの口を利けなくしてやりたい。

そんな衝動を抑えた。




A「姉様は、あんたの事を探してた。
どれだけ見つからなくても、
どれだけ可能性が低くても、
姉様は諦めずに探してた。
その気持ち、あんたは踏みにじるの?」

綱道「………昔から、私は子供が嫌いでね。
それでも引き取ってやったんだ。
それだけでも有難いと思って欲しいものだ」

A「有難い?
勝手に引き取ったくせに、
有難いなんて思うわけないじゃん」




何を言っても返ってくる綱道の言葉は、
全て悪態ばかりだ。

この男、
沖田さんなんて目じゃない程に捻くれている。


だんだん腹が立ってきて、
何でこんな男に父様たちは姉様を預けたのかと、
怒りの矛先までもが変わってきていた。

このままでは父様たちも憎んでしまいそうだ。

頭を軽く振って、
その考えを吹き飛ばそうとした時だった。

****→←140:最後の慈悲



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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 何度も読み返して読んでます。斎藤さんとの恋仲で幸せです。涙が流れてます。 (2020年5月26日 21時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 朔さん» コメント&一気読みありがとうございます!風間の言葉遣いがなかなかに難しく、上手く表現出来ているのか不安でしたが、可愛いと言ってもらえてうれしいです♪なかなかに私の妄想が激しいものになってしまいますが、これからもよろしくお願いします(*´ω`*) (2019年10月4日 9時) (レス) id: 92dfc97012 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメン失礼します!今日この作品を見つけて一気読みしてしまいました!!悲劇が無くて風間がかわいくて()大好きです!!!最近は薄桜鬼の小説を書いてる方も少ないので...(>_<)応援しています(^^ゞがんばってください!!長文失礼いたしましたm(__)m (2019年10月4日 2時) (レス) id: af48bb8f49 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年10月2日 16時

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