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123:鬼と人 ページ45

ひとしきり話をしたのか、
私たち姉妹がいる外へ
皆さんが出て来た。

そして私の頭にポンッと手が置かれ、
上から言葉が降ってくる。




土方「ありがとな。近藤さんを、助けてくれて」

A「いいえ。私の我儘ですから。
私がしたいようにしただけ。
だから、お礼を言われるような事はしていません」

土方「お前なら、そう言うと思ってたよ」




頭に置かれた手を、
今度はガシガシと動かして撫でられた。


うーん…。
これは撫でられてるの、か…?

結構強い力だぞ?


でも、それが嬉しく感じてしまう。
……私も、どうかしてるな。




A「私は村の中を見てきます。
でも、私を置いて行こうとしないでくださいね!
絶対に追いつけませんから!」

沖田「ええ?どうしようかなぁ」

A「ちょ!沖田さん?!」

沖田「嘘だよ。行っておいで」

A「絶対ですからね!では、また後程」




小さくお辞儀をして、踵を翻す。


トントン、カンカンと、
建物を建てる音がする村の中を歩いた。

屋根の上から、柱の陰から、
鬼たちが私に向かって手を振っている。


人間の世は戦で溢れているのに、
ここは平穏そのものだ。

正反対の世界に、
何だか少し悲しい気持ちになる。

いつか人間の世も、
平穏を取り戻す日が来るのだろうか…。




斎藤「何故、そのような顔をしている」

A「……いいんですか?皆さんと一緒じゃなくて」

斎藤「ああ。個々に行動しているからな」




好きなように過ごしてと言ったのだし、
それに対して口を出すつもりはない。


私の隣へ来た斎藤さんから目を離し、
建ちかけている建物に目線を向ける。

そこには職人さんたちが必死に作業をしていて、
穏やかな日常が繰り広げられていた。




A「人間の世界と、鬼の世界。
同じ刻を生きているのに、
こうも違うのかと思ったんです」

斎藤「……そうだな。ここは平穏そのものだ」

A「人の世も、
いつか平穏な日々が来るのでしょうか?」

斎藤「ああ。その為に戦っているのだからな」

A「そう、ですよね…」




それから二人で村の中を歩き回った。

途中で原田さんと永倉さん、
平助君の御姿を見つけたのだけれど、
何故か職人さんと一緒にお酒を酌み交わしていた。


あの三人は、本当にお酒が好きなんだな。

しかも鬼たちと仲良くしている。

****→←122:切なる願望



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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 素敵だよ。涙が流れます (2020年5月24日 23時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月26日 17時

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