【薄桜鬼】純血を巡る者６ (ページ36)

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１１９：復興の村ページ36

不知「ほらな、
人間と一緒だと動きずれえだろ？」

A「そう？私は何とも思わないけど」

不知「お前は人間と関わりすぎなんだよ」

A「匡ちゃんたちは動きが早すぎなんだよ。
もっと余裕を持った方がいいんじゃない？」

普段、匡ちゃんたちは飛ぶように、
風のように動くから、
土方さんたちの普通に歩くという事が煩わしいようだ。

ちー君もそうだけど、
三人共せっかちだからいけないんだ。

もっと、ゆっくり行動すればいいのに。

先頭を行く匡ちゃんの隣で、
そんな話をしながら歩く。

しばらく歩けば見知った土地に来ていて、
昔を懐かしみながら
景色をキョロキョロと見ていた。

A「あっ！」

少し先に開けた場所があり、
そこを見つけて駆け出した。

そこは私が焼ける村を見ていた所。
斎藤さんと焼け切った村を見た所だった。

だけど今、私の目に映る村は…。

A「すごい！だいぶ出来てる！」

不知「おお！見違えるようだな！」

私たちの後ろから皆さんが走ってきて、
同じようにそこから下を見る。

少し遠の方に見える村は、
あの真っ黒い炭の村ではなく、
綺麗な建物が立ち並び始めていた。

ちー君たちに頼って良かった！

私一人では、
こんなに早く復興は出来なかったもん！

振り返り、
皆さんにニコニコと笑顔を振りまいた。

A「村に着いたら、
皆さんに会っていただきたい人がいるんです」

不知「確かに、会わせてやりてえな」

土方「何だよ。
あそこにお前らの家族なんていねえはずだろ？」

A「村の復興に尽力してくださってる方なんです」

フフッと口元を手で隠しながら笑い、
姉様の手を引いて走り出す。

姉様は驚いていたけど、
姉様にとっては数年ぶりの村だ。

私は姉様と一緒に近くから村を見たい。
そう思ったんだ。

村の入り口に辿り着き、
姉様と顔を見合わせた。

A「姉様、おかえり」

千鶴「……ただいま！」

村の中を見れば、
たくさんの人たちが忙しそうに右往左往と動き回っている。

人と言ってはいるが、
ここにいる人たちは全員が鬼だ。

鬼の世界にも、職人っているんですよ。

鬼１「ん？……A様？！
A様ではありませんか！」

鬼２「A様！よくぞご無事で！」

A「皆さん…っ！ご苦労様です」

皆さんは作業の手を止めて、
わらわらと周りに集まる。

懐かしい顔の人もいれば、
見た事がない人もいた。