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ここには十分な処置が出来る道具もない。
止血するしか、出来る事はないのに…っ
千鶴「血が、止まらない…っ」
土方「フッ、俺も、ここまで、か…」
どうしようもない。
このままでは、土方さんが…。
その時、
頭の中でAが微笑む姿が思い浮かんだ。
どういう時、Aならどうする？
きっとどんな手段を使ってでも、
Aなら助けるはずだ…っ！
懐に忍ばせていた変若水を取り出し、
土方さんに差し出した。
土方「お前、それは…っ」
千鶴「飲んでっください。
私は、あなたに死んで欲しくない！」
沖田「……僕も
土方さんには、死んで欲しくないかな」
土方「……すまねえ…、
俺も、まだここで、死ぬわけにはいかねえ…っ！」
土方さんは震える手で、
差し出した変若水を手に取り…。
そして、飲み干した…。
綺麗な黒髪は見る影もなく白髪に変わり、
目は血のような赤に…。
Aは、ずっとこんな気持ちだったんだ…。
いくら生きて欲しいと願っての決断だとはいえ、
やっぱり辛いものなんだね…。
Aが泣く理由が、今やっと分かったよ…。
変若水を飲んだ事で苦しむ土方さんの体から、
傷がどんどん塞がっていく。
それと同時に、
あれだけ止まらなかった血も止まっていく。
やっとのことで苦しみから解放された土方さんは、
あれだけの銃弾を受けたとは思えないほど
しっかりと立ち上がった。
土方「ハア…。お前も平助も、斎藤も…。
こんな辛い思いをしてきたんだな…」
沖田「最初は辛かったですけど、
僕は後悔なんてしてませんよ。
それに、僕はAちゃんに感謝しかないですけどね」
土方「フッ、そうだな。
よし、喧嘩のやり直しだ！」
沖田「仕方ないから、僕も付き合いますよ」
土方「千鶴、お前はここで待ってろ」
千鶴「……はい」
そしてお二人は、
私に背を向けて宇都宮城へと走って行った。
物陰から戦火の音を聞きながら、
ただただ祈るしか出来ない。
Aなら突っ走って行くのに。
私には、そんな力はない…。
？？「千鶴、か…？」
宇都宮城の開かれた城門を見つめていると、
後ろから声を掛けられた。
そちらを振り向くと…。
千鶴「原田さん！それに、不知火さんも！」
不知「女鬼が、こんな所で何してんだ？」
千鶴「今、土方さんと沖田さんが中に…」
原田「総司はいいとして、土方さん大丈夫か……っ！
おい千鶴、その空き瓶…」
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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 素敵だよ。涙が流れます (2020年5月24日 23時) (
レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まほろ | 作成日時：2019年9月26日 17時
