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A「それが分からないんです。
私たち雪村家に貯蔵されていた書物にも、
あのような羅刹については
書かれていませんでしたので…」

斎藤「あの羅刹は、自我もあるようです」

山南「自我が…?
血に狂っていないという事ですか?」

A「少なくとも私たちが戦った時には、
狂っていませんでした」




新選組でまがい物の研究をしていた山南さんですら、
あの羅刹についてはさっぱり分からないようだ。

あの片方の金の瞳は、鬼の目。
私たち純血の鬼が持ち合わせる瞳の色。

私が作る変若水ですら、
人の瞳を金に変える事は出来ない。

現実離れした出来事ばかりで、頭は混乱していた。




山南「私はもう少し追ってみます。
少し、嫌な予感がしますから…」

斎藤「嫌な予感とは?」

山南「あの羅刹たちは、
どうも新政府軍と共にいるようなのです」

A「え…?」




山南さんの口から出た言葉は、
私たちに衝撃を与えた。

羅刹が新政府軍と共にいる?

それはつまり、
新政府軍が羅刹を使っているって事?

綱道は、新政府軍の配下にいる可能性が高い…。




斎藤「総長、どうやらその考えは正しいようです」

山南「嫌な予感というのは、
どうにも当たってしまうようですね」




少しずつ尾行を続けていた私たちの目の前で、
綱道率いる羅刹たちは、
白河城の中へと入って行った。

私たちは白河城を巡って戦っていたはずなのに、
その白河城の中に羅刹…?

しかも城門を開けたのは、
新政府軍の兵士だった。




斎藤「……負け戦になるな」

A「そうかもしれませんね…」

山南「私は山崎君と合流しようと思います。
彼に、白河城の偵察を頼んでみましょう。
近いうちに藤堂君をそちらへ向かわせますから、
それまで待っていてください」




私たちが頷くと、
山南さんは元来た道を戻って行った。

だんだん不穏な空気が渦巻きだしたな…。

まさか綱道の羅刹が、
新政府軍と手を組んでいるなんて…。




斎藤「俺たちも戻るぞ。
隊士たちを置いてきているからな」

A「はい…」




私たちも、野営地に向かって歩き出す。

その道のりはとても静かで、
どちらも口を開こうとはしなかった。


あの羅刹については
山南さんからの報告を待つとして、
新政府軍に綱道が関わっているという事が問題だ。

今までは新選組のお手伝いとして戦っていたけど、
どうやらこれからは、
私の戦いにもなりそうだ…。

115:借りを返す→←114:綱道と新政府軍



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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 素敵だよ。涙が流れます (2020年5月24日 23時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月26日 17時

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