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100:断髪 ページ40

慶応4年3月。

寒さも和らぎ、
外は春の風が吹き始めた朝。




原田「A、ちょっと来てくんねえか」




着替えている部屋の前で、
原田さんが呼びかけてきた。


何だろう?

今日は甲府に向かうというのに、
こんな朝早くから呼びに来るなんて珍しいな。


手早く着替えを済ませて外に出ると、
原田さんは壁に凭れ掛かりながら待っていた。




A「どうしたんですか?
何か準備が足りませんでしたか?」

原田「今が準備中なんだけどよ、
ちょっとやって欲しい事があるんだ」




首を傾げて疑問に思っていると、
原田さんは少しだけ微笑んでから歩き出す。

仕方なく、それに付いて歩き出した。


辿り着いた場所は広間。

中からはガヤガヤと騒がしい声が聞こえてくる。


原田さんは襖を開けて中に入ると、
そこには幹部隊士さんが全員揃っていた。




永倉「おう、おはよう!
左之はAちゃんを呼びに行ってたのか?」

原田「女の子にやってもらう方が安心だろ?
新八にやらせたら、
どんな事になるか分かんねえからな」

藤堂「分かる!新八っつぁんがやったら、
坊主にさせられそうだもんな!」

永倉「平助のくせに、言いやがるじゃねえか」




いつもと変わらない三人組。

これから甲府に戦へ行くとは思えないほど、
広間のなかは和気藹々としていた。




原田「んじゃ、これな」

A「(はさみ)
これで、何をするんですか?」

藤堂「俺たちの髪、切ってくんねえ?」

A「え?………えええぇぇ!?
な、何故、髪を?!
しかも何故、私が?!」

永倉「敵さんは全員洋装だからよ。
こっちも洋装の方が都合がいいんだとさ」

原田「洋装に長い髪は邪魔だからな。
最初は新八が切るって言ったんだが、
こいつにやらせたら怖いだろ?」

藤堂「Aなら器用そうだしな。
だから、頼むよ」




私は鋏を見ながら戸惑っていたけど、
これも戦の為ならと心を決めた。




A「それなら準備してきます。
準備が出来たら呼びに来ますので、来てください」




そう言い残し、
私は近くの空き部屋へと向かう。

その途中で手ぬぐいと紙、
そして鏡を手に取り、部屋の中央に紙を敷いた。


女の私が男の人の髪を切っていいものなのかな?

いや、皆さんがいいって言ってるんだ。
ちゃんと切ろう!


もう一度意を決して、広間へ呼びに行った。

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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さんと恋仲になって欲しいです。 (2020年5月24日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月19日 7時

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