【薄桜鬼】純血を巡る者２ (ページ37)

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姉様と他愛もない話をしていたのだけれど、
姉様は思い立ったように
土方さんの隣へ駆け寄り話しかけている。

前を一人で歩いているから
姉様なりに気を遣ったのかもしれない。

急に隣がいなくなり少しだけ寂しさを覚えたけれど、
目の前を歩く姉様が楽しそうにしている姿を
見ているだけでも楽しいし嬉しい。

だけど、さすが大晦日。
風が冷たい。

冬の夜という事もあって羽織は着てきたけど、
やっぱり真冬の風は染みるなぁ…。

A「ほえ…？」

急にフワッといい匂いが鼻を掠め、
首元が少しだけ暖かくなった。

目線を少し下に向けると、
自分の首に白い襟巻が巻かれている。

あれ？これって、
いつも斎藤さんが首に巻いてるやつじゃ…？

振り向けば、
やっぱり斎藤さんの首元にあるはずの物がなかった。

A「あの…っ」

斎藤「寒いのだろう？」

A「でも…っ」

斎藤「風邪を引かれては困るからな」

これ以上の反論は認めない。
そんな顔をしていらっしゃった。

一言お礼を言って、巻いてくれた襟巻に手を添えて
鼻まで隠すように引き上げる。

何故か斎藤さんっていい匂いがするんだよね。

……ん？いい匂い…？

いい匂いって何？！
私は何を考えてるわけ？！

……そうだ、洗濯の匂いだ！
うん、きっとそうだ！そういう事にしておこう！

でもこれを私に渡してしまったら、斎藤さんが寒いんじゃ…。

少し歩を緩めて斎藤さんの隣へ移動し、
ほんの少しだけ斎藤さんにくっついて歩いた。

A「これなら斎藤さんも、
多少ですが暖かく感じるかもしれませんよ」

斎藤「……そうだな」

良かった！拒絶されなかった！

そんな気遣いはいらないとか
言われたらどうしようかと思ったよ…。

………だーかーらー！！
何を考えて、何に喜んで、何にほっとしてんのよ！

今日の私は自分でも分からない気持ちに
支配されているようだ…。