【薄桜鬼】純血を巡る者２ (ページ24)

今日:31 hit、昨日:31 hit、合計:119,232 hit

３１：方向音痴＜原田左之助＞ページ24

千鶴「A！おかえり！」

A「ただいま、姉様」

斎藤「それで何をしている？」

原田「いやあ、斎藤あちの姿が見えたからよ。
声を掛けようと思ってたんだ」

永倉「そ、そうそう！」

斎藤「声を掛けるのに
隠れる必要はないはずだが…」

痛い所を突いてくれるじゃねえか…。

それでも斎藤を怒らせると怖い事は知ってるから、
覗き見してました。なんて
口が裂けても言えねえ。

千鶴「随分長い旅路だったね」

A「いや、その…」

千鶴「もしかして、方向音痴を発揮した？」

A「う…っ」

永倉「Aちゃんって方向音痴なのか？」

A「地理には弱くて…。
知った道しか行けないんです」

苦笑いをしながらヘラヘラと笑うAは、
千鶴と全く同じ顔なのに
何故か幼く見えてしまう。

千鶴とはまた違う可愛さを持ってんだよな…。

A「斎藤さんには
かなりご迷惑をお掛けしてしまいました」

斎藤「迷惑だとは思っておらぬ。気にしすぎだ」

ペコッと斎藤に向けて頭を下げて謝っていたが、
頭を上げて笑う顔は
可愛いではなく綺麗だった。

色んな色を持つAの表情は、
見ているだけで面白くて楽しい。

そう思っているのは俺だけではないらしく、
新八もAを微笑みながら見つめているし、
あの斎藤でさえほんの少しだけ
口角を上げて笑っている。

Aは斎藤の隣から千鶴の隣へ移動し、
千鶴と楽しそうに話をし始めていた。

原田「こうやって見ると、
千鶴が姉ちゃんに見えるよな」

千鶴「同じ日に産まれてはいますが、
これでも私は姉です！」

A「小さい頃は姉様がいないと
私は何処へも行けなかったよね」

千鶴「そうそう！
Aはいつも迷子になってて、
一度、夜になっても帰って来れなかったよね」

A「そ、それは今言わなくても…」

斎藤「容易に想像がつくな」

A「斎藤さんまで！もう…っ」

小さな頬を膨らませて拗ねる仕草はまた可愛い。
そのAの頭を千鶴が撫でている。