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19:惨事 ページ44

頭の中では
ちー君の言葉が
復唱されている。

【雪村家が滅んだ事を知った一部の鬼たちが、
何かを企んでいるらしい】

もしかしたら、その鬼たちなのでは…?
でも、どうして姉様を…?

姉様を連れて行っても無意味だ。
能力血も持っていないし、
記憶が戻ったからと言っても
姉様の鬼の力はまだ完全に戻っていない。

もしかして、私と間違えた…とか?

もしそうなら、やっぱり私のせいだ。
姉様を危険に晒したくないのに、私のせいで…。




永倉「左之!!」




走りながら思考を巡らせていた私に
聞こえてきたのは永倉さんの叫び。

一度思考を止めて前を見れば
傷だらけで座り込んでいる
原田さんの姿が見えた。




A「酷い傷…」




目を背けたくなる程の傷。
原田さんに近づいて顔を覗き込んでみれば、
ちゃんと息をしていて話す気力もあるようだ。




永倉「何があったんだよ!」

原田「千鶴らしい女を抱えた男を追いかけたんだが、
そいつらには仲間がいて…」

永倉「屯所に千鶴ちゃんはいなかった。
Aちゃんも知らない間に連れだされたらしい」

原田「くそ!やっぱりあれは千鶴だったのか!」

A「原田さん、その傷はもしかして…」

原田「ちっとばかし人数が多すぎてな…」




原田さんから目線を反らせて先を見れば、
浅葱色の羽織を着た人たちが倒れている。

たぶん、十番組の人たち。

倒れてはいるけれど息絶えている人はいないようで、
みんな肩を動かして息をしている。

でももう戦える状態じゃない。
もしかしたら時間がない人もいるかもしれない。

すぐに刀を抜いて、
原田さんを押し倒して圧し掛かった。
今の原田さんは私の力でさえ
倒れてしまうほど憔悴している。




永倉「Aちゃん?!」

原田「Aに押し倒されるのは
悪い気しねえが、この状況じゃあな…」

A「冗談を言っている場合ではありません!」




腕に刀を宛がって思いっきり引いた。
どうやら今の私に痛覚はないようで、
痛さを感じない。

原田さんが驚きで口を開けた瞬間に、
斬った腕を押し当てる。




A「気持ち悪いかもしれません。
ですが飲んでください、早く!」




眉を(ひそ)めながら、それでも
腕を吸われた感覚があり
少しだけだけど安堵した。




原田「ごほっ、げほっ」

A「少し休めば傷は治ると思います。
それまでは大人しくしていてください」

原田「悪ぃな…。痛かっただろ?」

A「原田さんの傷に比べれば、全然」

****→←18:眠れぬ夜



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斎藤ようこちゃん(プロフ) - こちらこそです。 (2020年5月22日 17時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» 何度も読んで頂きありがとうございます!これからもよろしくお願いします☆ (2020年5月22日 8時) (レス) id: 186b1c0f08 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - コメントお願いします。嬉しいです。何度も読んでます。 (2020年5月21日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» こんにちは!レスが遅れてしまい、申し訳ありません。気に入っていただけたようで嬉しいです♪こちらは完結しておりますので、最後まで楽しんでいただけると嬉しいです!コメントありがとうございます☆ (2020年5月21日 21時) (レス) id: 186b1c0f08 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - はじめまして。素敵な作品です。気に入りました (2020年5月16日 21時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年8月27日 9時

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