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｢あ…やっぱり君だったんだ｣
アーケードゲームの子供用の椅子に座り、こちらを見る。
このゲームは女児向けのリズムゲーム、プリキュア。
隣同士に並んでいるため、必然的に同じゲームをすると隣に座ることになる。
｢いつもこのゲームしてるよね、僕も好きなんだ｣
｢はい、知ってます｣
私とこのお兄さんは、夕方の同じ時間によくここで出会う。
いわばここは私たちの特等席だ。
一見中学生や大人になってこういうゲームをしているのは変かもしれない。
けれどこのゲームセンターは子どもも少なく、穴場スポットと呼ばれるところ。
私はここでなら趣味をさらけ出せるのだ。
｢いつもレモネード使ってますよね｣
｢おや、知ってた？君はシャイニールミナスだよね｣
｢あ…やっぱり知ってましたか｣
にこりと微笑む。
やっぱり見られてるんだな。
このゲームのキャラクターは年代別に分かれていて、私とお兄さんのキャラクターは違う年代のプリキュアだ。
だが同じ｢小さな女の子｣というポジションを推しているので、似たような趣味だろうなと密かに感じていた。
｢…あ、ごめんねめちゃめちゃ話しかけて。変な人だと思わないでね｣
急に我に返ったお兄さんが目をそらす。
｢いえ、私こそ｣
寧ろ、ここまで話しかけてくれたお兄さんに驚いている。
｢楽しいです、周りにはこんな話できる人いないんで｣
｢…ほんと？｣
不安そうに上目遣いで私を見る。
なんだか、不思議な雰囲気の人だな。
｢はい、本当です｣
自然と私も笑みがこぼれる。
｢悪い人じゃないのは、雰囲気で分かりますから｣
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作者名：夢子(む〜こ) | 作成日時：2020年3月22日 23時
