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芸夢side
｢………｣
………萌の視線が怖い。
｢でも…ここによくいる人ですよね？何度か見かけたことがあります｣
｢やっぱりか〜…ここのゲーセン常連多いからな｣
萌から描いてもらった絵を綺麗にしまいながら話を聞いている。
｢ここにいる人とは、一生話さないだろうなあと思っていたから…嬉しいです｣
俯いて小さな声で喋る。
｢…それは僕もだよ｣
まあ…確かに初対面でこんなに話し込むなんてめったにないもんな。
｢…あ、少し御手洗失礼します！｣
タッ
すっと、立ち上がり席を外す。
｢……どうして僕を尾行するのさ｣
｢や、それは…心配だから｣
｢…一線超えないか？｣
見透かされてるなあ。
｢ああ…高校生だぜ相手は｣
｢まだそんな域まで行ってないって｣
にこやかに笑うが、今日の態度を見ていて分かる。
｢…正直、ドキドキしただろ｣
｢……………関係ない｣
素直じゃないな。
萌が2次元じゃない女の子に興味を持つなんて、今まで無かった。
だからこそ、どうなるか分からない。
｢…好意を持ってるのは事実｣
！
｢でも…それを君にとやかく言われる筋合いは無い｣
ご、ごもっとも。
｢はあ、分かった分かった。…ただ、ホントに気をつけろよ？｣
｢うん、分かってるさ。ただまだ曖昧な気持ちだ｣
にこ
そこに関してはシビアだな。
｢あ、所で今日なんで隠れてたんだ？｣
｢うん？ああ、Aちゃんの同級生が居たから｣
同級生？
｢バレたくないんだって。気まずくなるから｣
｢ふぅ〜ん｣
Aちゃんもバレたくないことあるんだ。
｢でも、やっぱ同世代だよなあ。ちょー若かった｣
…分かりやすいなあ、萌は。
｢…まあ、同級生だしな｣
｢………………｣
｢待たせました！｣
向こうからAちゃんがかけてくる。
｢…じゃ、俺は行くよ｣
｢うん、またね｣
｢また！｣
…あの二人には、付け入る隙はなさそうだ。
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作者名：夢子(む〜こ) | 作成日時：2020年3月22日 23時
