Murder on D street -5- ページ5
「え……?」
「マフィアの報復の手口は身分証と同じだ。細部が身分を証明する」
ぎゅっとAの黒い革手袋が鳴った。
「マフィアの手口は、まず裏切り者に敷石を噛ませて後頭部を蹴りつけ顎を破壊。そして、激痛に悶える犠牲者をひっくり返して胸に三発」
「うえっ」
「た、確かに、正確にはそうですが……」
「と云う事は、此の手口はマフィアに似ているがマフィアでは無い。つまり────」
「犯人の……偽装工作!」
其れ迄全てを黙って聞いていた箕浦が反応する。
「そんな……偽装の為だけに遺骸に二発も撃つなんて……非道い」
小さく呟く杉本。
「ぶーー!はい時間切れー」
突然の大声を、真後ろで出されて肩が跳ね上がる杉本。
「駄目だねぇ君。名探偵の才能ないよ!」
あっはっはっと笑いながら杉本の頭をべしべしと叩く乱歩。
「あのなぁ貴様!
先刻から黙って聞いていれば、やれ推理だやれ名探偵だなどと通俗創作の読み過ぎだ!事件の解明は即ち、地道な捜査・聞き込み・現場検証だろうが!」
「はぁ?」
乱歩に対し怒り混じりで言い放つ箕浦だが、その言葉を全く理解出来ないとばかりの反応をする乱歩。
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作者名:水無月碧音 | 作成日時:2018年6月25日 16時