人生万事塞翁が虎 -4- ページ8
敦に興味津々なA。
向い合わせでじっと見ていると
「!!駄目だよAちゃん!敦君を見すぎだ!」
如何やったのか国木田の手から逃げた太宰が、慌ててAの顔を自分に向けた。
「?髪の色が似ているから親近感が沸いて…。気を悪くしたなら謝ります」
何も知らない敦でも、太宰の行動の意味は解った。
「…探偵のあなた方の、今日のお仕事は…?」
「虎探しだ」
ドクッ…
「……トラ…?」
「近頃街を荒らしている『人食い虎』だよ。倉庫を荒らしたり畑の作物を食ったり好き放題さ。
最近この近くで目撃されたらしいのだけど────」
ガタッ
敦は椅子から転げ落ち、四つん這いになって逃げようとする。
「ぼ、ぼぼ僕はこれで失礼します」
突然の様子に首を傾けるA。
去ろうとした敦は
「待て」
国木田に首根っこを掴まれ、叶わなかった。
「む、無理だ!奴──奴に人が敵うわけない!」
「貴様…『人食い虎』を知っているのか?」
「あいつは僕を狙ってる!殺されかけたんだ!
この辺に出たなら早く逃げないと──」
敦の首根っこを離し、右腕を掴み脚をかける国木田。
「…ッ!」
倒れた敦は其の儘床に押さえつけられた。
「云っただろう武装探偵社は荒事専門だと。
茶漬け代は腕一本か、もしくは凡て話すかだな」
「…………っ!」
「離してやって下さい、国木田さん」
顔を顰める敦を見兼ねたのか、Aが制止をかける。
「そうそう。君がやると情報収集が尋問になる。
社長にいつも云われてるじゃないか」
太宰も同調した。
「……ふん」
Aは国木田の腕をやんわりと剥がすと
「ほら、立てるか」
敦に手を差し出した。
「あ、ありがとうございます…」
好意に甘え、手を借りる。
「国木田さんは少々気性が荒くてな…。
だが決して悪い人では無いんだ」
「は、はい」
太宰はさりげなくAの腕を引いて、笑顔で中島の顔を覗き込む。
「……それで?」
「え?」
「アツシマの話の続きを聞きたいそうだ」
Aが太宰の言葉に説明を加えたが
「…中島…です(アツシマ…)」
名前を間違えてしまったようだった。
「!すまない…中島」
しかし敦は特に気に止めてはいなかったらしく、話を続けることにした。
「………うちの孤児院は、あの虎にぶっ壊されたんです。畑も荒らされ 倉も吹き飛ばされて──。
死人こそ出なかったけど、貧乏孤児院がそれで立ち行かなくなって…
口減らしに追い出された」
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水無月碧音(プロフ) - 蓮(ルイ)さん» 覚えました!宜しくお願いします。最近少し忙しいですが次からは続編なので頑張ります! (2018年5月7日 23時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
蓮(ルイ) - 名前が変わっていると思いますが一応ルイです!これからは蓮です!更新楽しみにしています! (2018年5月7日 23時) (レス) id: aeb99a7d73 (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - ルイさん» ありがとうございます!暇つぶしで描いている絵を褒めていただき嬉しいです!頑張ります (2018年5月4日 18時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 絵が凄いです!驚きました!更新楽しみにしています! (2018年5月4日 14時) (レス) id: aeb99a7d73 (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - 神無月碧依さん» そう言って頂き嬉しいです!頑張りました(笑) (2018年3月7日 17時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水無月碧音 | 作成日時:2018年1月1日 22時