【あんスタ】オレの隣の湊さん2【漣ジュン】 (ページ41)

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「っと……この辺で大丈夫ですか？」

「うん。全部持たせてしまってごめんね。助かった」

「気にしないでください。にしても、ここ広いっすねぇ」

湊さんの指定した被服室までダンボールを運んだオレは、初めて入る被服室に驚きを隠せなかった。

恐らく湊さんが転入してきたために作られた教室で、数多くの衣装や材料を置くために教室をいくつか吹き抜けにして使っている様子。

マネキンに飾られているいくつかの衣装は細部まで細かく作られていて、湊さんの手先の器用さが表れていた。

「はぁ……やっと落ち着ける」

湊さんの作った衣装に見入っている途中、ボソッと湊さんがそう呟いたのが聞こえ、思わず湊さんを見てしまった。

疲れが顔に表れていて、マスク越しでも笑顔の湊さんがこんな顔をしているのをオレは初めて見た。

オレが見たことに気付いた湊さんは、一瞬”しまった”と言いたげな顔をしたものの、すぐに笑顔を取り繕ってオレを見た。

「あ、ごめん。気にせんどいて」

「あ、いや。何かすいません……うちのクラスの男子が最近あんたに突っかかるせいですよね」

「……バレンタインが近いけんって、頑張って手伝ってくれとるのはすごい伝わるんやけど、必要ない時に来られちゃうと流石にね」

ストレートに言わないものの、やはり湊さんも迷惑だとは思っているみたいで眉毛を八の字にして困ったように笑っている。

たかがバレンタインのために、迷惑がかかるぐらい湊さんにベタベタするのはオレから見ても不愉快だった。