【あんスタ】オレの隣の湊さん2【漣ジュン】 (ページ37)

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「もしもし？」

『あ、もしもし漣？湊です』

いつもよりも近い所から耳に入ってくる湊さんの声に心臓はバクバクしているものの、オレはそれがバレないように必死に取り繕う。

彼女の落ち着きのある綺麗な声が全身に響き渡り、何だかこそばゆかった。

「あの、何かありましたか？」

『ううん。ただ、直接お礼が言いたかったんよ。あ、忙しかった？』

「い、いえいえ！ただ、少しビックリしたというか」

申し訳なさそうにする湊さんに慌てて釈明すると、彼女は安心した声色になり、SSに招待したお礼と感想を言ってくれた。

それだけじゃ物足りなくてより一層湊さんと話したかったオレは、自ら話を持ちかけて電話越しではあるものの2人っきりの時間を楽しんでいた。

時折電話越しに《＊＊空港より、ご搭乗のお客様にご案内いたします》とアナウンスが聞こえて、湊さんが空港にいることが分かり「空港にいるんですか？」と自然と彼女に聞いていた。

『あ、そうなんよ。年始は兄さんと実家に帰ろうと思って』

「そうなんすね！楽しんできてください」

『ありがとう。お土産買ってくるけん待っとって』

「え、いやいやいや。そんな、大丈夫ですよ！！」

実家のある九州に帰るという湊さんは気を使ってくれたらしく、それが申し訳なくなり断りを入れる。

好きな人からお土産を貰えるのは嬉しいが、そういうのは気持ちだけでも十分嬉しいものだ。

焦っているオレに「気にせんで」と笑う湊さん。

そして、

『ずっと言おうと思っとったんやけど……私、漣のこと……』

そう言うと、湊さんは何故か口ごもってしまう。

ここで、漫画ばっか読んでいるオレは察してしまった。

(え……これって、”そういう”感じっすよね！？誰がどう見ても、”そういう”雰囲気っすよね！？)

こういうのは男のオレから言うべきだろうと思ったが、心の中の湊先輩から「Aちゃんの言うこと聞けやボケ」とお叱りを受けたため、ここはグッとこらえる。

「オレが……何ですか？」

来るであろう言葉を想像しただけで、心臓がバックバクだ。

神様。オレ、今日頑張って本当良かったっす。

『私、漣のこと_______________』