【あんスタ】オレの隣の湊さん2【漣ジュン】 (ページ34)

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「今までずっと自分の顔が嫌いだった」

すれ違う人たち誰もが振り向き、彼女の顔を見た人たちが口を揃えて「綺麗だ」と言う美貌を持つ湊さん。

湊先輩にそっくりな神秘的な雰囲気を持つ顔立ちをしているけれど、何故かずっと顔を見せたがらなかったからその理由をずっと知りたいと思っていた。

「兄に似ている顔立ちは、アイドルに近付きたい一般人にとってただの”目印”でしかなくて、私に近付いてくる人たちは兄と関わることが目的の人ばかりだった」

湊さんから語られた、”アイドルの兄を持つ妹”という立場だからそこの苦悩。

”ただ友だちが欲しかった”、”私という人間を見てほしかった”という湊さんの心の声が強くなり、結果それが”マスクをして顔を隠す”ことに繋がったのだ。

「でも、今回の出来事で”この顔も誰かのために使うことも出来るんだな”って思えて、少しだけ好きになれたんだよ」

「俺もこいつも、お互いの持っている”武器”を最大限に使ってここまで繋いできた。だから明星、辛いだろうけど次はお前が……いや、お前らが頑張る番だ。ユニットの力で乗り越えろ」

おひいさんと話していた湊先輩も、湊さんと同様に明星さんに目線を合わせるようにしゃがみこむ。

そして、湊さんが明星さんの手を壊れ物に触れるかのように優しく包み込み、その上から先輩も明星さんの手を包んでいる湊さんの手を包み込んだ。

「多くの困難を乗り越えてきた俺たちのパワーをお前に分け与えよう。大丈夫だ。お前らなら絶対に」

「ここまでしか手助け出来なくてごめんなさい。だけど、観客席からずっと応援してるから。頑張ってね」

兄妹の絆というのは、不思議な力を持っている。

どんなに辛いことも兄妹の絆で乗り越えここまで来た2人のパワーは、きっと何よりも頼もしいだろう。

2人の思いを受け取った明星さんは、弱々しく笑いながら「……ありがとう」と震える声でお礼を言った。

「……そろそろ私たちは観客席に戻ろう」

「そうだな。じゃあな、Trickstar、Eden！！お前らどっちも頑張れよ！！」

「応援してます！頑張ってくださいね！」

2人は最後に両ユニットにエールを送ると、兄妹仲良く観客席へと向かっていく。

小さくなっていく2人の背中に各々がお礼を言い、そしてSS決勝戦での作戦会議に移った。