【あんスタ】オレの隣の湊さん2【漣ジュン】 (ページ26)

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病室に来た湊先輩は「オレと湊さんを2人っきりにさせまい」と走ってきたらしく、ゼェゼェと息を切らしていた。

けれど、手にはイチゴのスイーツで有名な店の袋が握られていて、何だかんだ言って優しいんだなと思った。

が、そんなオレの心の中を読んだのか「勘違いするな。オレはAちゃんのために買ってきたんだ」と睨まれ、そのことを寮に帰っておひいさんに話せば爆笑していた。

_______________それから、数日後。

いつものように登校したオレは、1人席に座り頬杖をつき、いつものように教室の様子を眺めていた。

(そう言えば、今日から来るんだったよな……)

なんて考えているところに、教室のドアが開きオレもクラスメイトもそこに視線をやった。

そこに立っていたのは、色素の薄い髪と瞳を持ち、そしてマスクをつけた1人の女子生徒。

クラスメイトはこの人が学校に来ることをずっと待ち望んでいたため、その人を目にした途端教室が騒がしくなった。

「湊！！」

「良かったぁ～！！」

「おかえり湊！！」

多くのクラスメイトに囲まれた湊さんは、入口付近で止まったまま「心配かけてごめんね」等と声をかけていた。

病み上がりで正直あと数日は来ないんじゃないかと心配していたが、元気な姿で学園に来てくれて安堵した。

輪から抜け出した湊さんは、約2ヶ月前から空いていたオレの隣の席に向かってくる。

そして、

「おはよう漣」

と、2ヶ月前と同じように挨拶をしてくれた。

失いかけていた日常が、今戻ってくる。

「おはようございます。湊さん」

挨拶を返すと湊さんはオレの隣の席に座り、「湊が戻ってきたぞー！！」と騒ぎ立てるクラスメイトを見て苦笑していた。

(おかえりなさい。湊さん)

湊さんが隣の席にいるだけで嬉しくて、口角が自然と上がっていくのを感じていた。