【あんスタ】オレの隣の湊さん2【漣ジュン】 (ページ2)

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初めての女の子の手の感触に、少しだけドキドキしていると、静かにドアが開き、咄嗟にその手を離してしまう。

姿を現したのは、意外な人物だった。

「え、ナギ先輩？」

「……あぁ、ジュン。来てたんだ」

驚いたオレとは対照に、至って冷静なナギ先輩。

関わりがあるとは思えなかったオレは、忙しい茨の代わりにお見舞いに来たものかと思った。

「……茨や日和くんみたいに、Aちゃんの力になっていたわけじゃないけど、彼女とは何回か話したことがあるんだ」

「へぇ、そうなんすか」

事件の日、救急車を呼んだナギ先輩は、この病室にいたものの、全く口を挟まなかったため、てっきり関わりがないかと思い込んでいた。

だから、2人に何かと交友があることに、少し意外性を感じていた。

「……すごく優しい子だよね。ずっとお兄さんの身を案じていたんだよ。”世界一幸せになってほしい”って、よく言っていた」

『兄さんには、世界一幸せになってほしいんです』

自分の兄のために、危険を犯してまで助けようとする湊さん。

だから、湊さんがその言葉を言っている姿が、簡単に想像できた。

「……そうですか」

湊さんが、どんな思いで自分の兄のために動いていたのか、考えるだけで胸が痛くなり、詰まったような返事しか出来なかった。

視線を落とし、湊さんの手首が自然と目に入る。

(……ん？)

湊さんの手首に、1本の短い縦線の傷痕があることに気付いた。

(何かで怪我したんすかね？でも、こんなところ中々怪我なんて……)

「……どうしたの、ジュン？」

「あ、いや……」

気付いた傷痕について、ナギ先輩に話そうかと思っていた。

すると、再びタイミング良く病室のドアが開いた。