恋を知らない二人

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「親かぁ……………」



『田中くんの親ってどんな人？』



「わかんない。5歳の時に親戚に預けられたから
その後に施設に入れられたからなぁ
生きてるみたいだけど施設に面会にも
来なかったしわかんねー」



『そっか』



「平野も中学の時から悩んでたんだろ？」



『うん』



「親は選べないからなぁ」



同じような苦しみを味わってきたんだね



『毒親っていうのかな？
最近までは仕方ないって思ってたけど
働いてた会社の同僚に自分の境遇がおかしい
って気づかせてもらったの』



「どんな親だった？」



『高校に行かせてくれなくて働かされて
給料はほとんど取られて何も買えなくて
暴力も振るわれてて逆らえなかった』



「ひでーな」



『同僚が身体のアザに気づいて
聞いてきたから素直に答えたの
そしたら社長が給料手渡しにしてくれる
っていうからボーナスと給料を手渡しに
してもらって会社やめさせてもらって
逃げることにしてここに逃げてきた
なんの縁もない土地だから気づかれないと
信じたいの
だから誰にも言わないで』



「わかった。絶対言わない」
これからどうするの？」



『ネットカフェに行く。
仕事探さなきゃいけないし
お金無駄遣いできないから安く済ませたい』



「そっか」



『今日二十歳になったから色々契約も
一人でできるからなんとか生きてく』



「だったら今日だけでも俺んち来る？」

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