恋を知らない二人

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私は絶望で立っていられなくなり



泣きながら座り込んだ



「ちょっと………えっ………平野？
どうした？だっ…………大丈夫？」



オロオロする田中くん



泣き崩れる私に



「言わない！言わないから泣かないで！
俺、中学の同級生と誰も繋がってないから
心配しないで！」



田中くんは私に手を伸ばし立たせてくれた



「なんかあったの？」



『……………大丈夫』



「いや…………絶対大丈夫じゃないでしょ
家どこ？送っていくよ
あっ…送られるの嫌ならタクシー拾うし」



田中くんって中学の時も優しかったな



クラスの女子から無視されてた時も
他の友達と変わらずに話しかけてくれてた



確か田中くんも家庭環境が複雑だったはず



それなのに優しくてひねくれてなくて
真っ直ぐに育ってすごいなって思ってた



私とは全然違うって思ってた



中学卒業から5年経つのに



そこには身体や顔つきは大人になったのに



優しい笑顔は変わらない田中くんがいた




「このまま一人にしとけないな
落ち着くまでそこの居酒屋で休もうよ
良かったら話聞くし！個室あるから
誰にも見られないよ」



私は首を横に振り



「いい。お金ないから………もう行く」



ぶっきらぼうに答えると



「奢るから！」



田中くんは私の手を引いて



飲食店の中に入っていった

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