恋を知らない二人

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『…………鍵ですか？』



ミツ「そう、うちの鍵」



『でも………仕事が見つかったから
私、ここから出ていかないといけないし』



ミツ「仕事始めても給料が入るのは
1ヶ月後だから…………
家、契約して最低限の家具かったら
手持ちのお金無くなっちゃうんだろ？
冷蔵庫に洗濯機とか最低限の家電と
日用品揃えるだけでも結構かかるよ」



田中「そうだね、とりあえず給料入るまで
とか貯金に余裕ができるまでいたら？」



『いいんですか…………？
迷惑じゃ、邪魔じゃないんですか…………？』



ミツ「君がいると田中さんが張り切って
ご飯作るからご飯のグレードが上がって
俺的にラッキーだから」



田中「ミツ！なに言って…………」



ミツ「いいじゃん。本当の事だし
それに掃除や洗濯も手伝ってくれるし
田中さんも仕事忙しいから料理の負担も
軽くなったって言ってたから」



田中「本当に助かってる！アイロンもかけて
もらえるからクリーニング代も浮くしね」



ミツ「もちろん君がすぐ出ていきたいなら
話は別だけど」



『すごく……………助かります
ありがとうございます』



私は鍵を受け取った



田中「じゃもう一回乾杯しようぜ！」



ミツ「オッケー」



田中「では3人のこれからの生活に乾杯！」



「『かんぱーい』」



こんなに美味しいビールは初めて



一緒に住む事を認めてもらえた事



温かく迎え入れてくれた事が



本当に嬉しかった

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