JUMPの最年少とキンプリのお姉さん【Yuri.C】

前途多難 ページ2

侑李「あ、」




『げっ』




某年5月。

私、木野Aはジャニーズ事務所唯一の女であり、長いJr.時代を経て、King&Princeのメンバーとして悲願のデビューを果たした。


同い年が次々とデビューしていく中、女ということが原因か、なかなかデビューできなかった私。


やっと積年の思いが叶ったと同時に、新たな試練も訪れた。



廊下にいるのは私と、目の前のチビ……じゃない、11年前に会ったきり、それ以来だった、親友。



今年デビュー11年を迎える、Hey!Say!JUMPのメンバー、知念侑李だった。




正直に言う。できれば会いたくなかった。

だって、どんな顔して会うべきなのか。

私も、彼も。



同い年とはいえ、芸歴はあっちの方が長い。

つまり先輩だ。


気まずい思いを抱きながら、ぺこりと会釈だけして、そのまま通り抜けようとしたときだった。



侑李「久しぶり、A」



思わず足を止めて、顔を上げてしまった。


……いやいやいや、まてまてまてまて。

侑李はそんな人じゃなかったはずだ。


侑李が毒舌なのは有名なことであり、それは私にも例外なことではない。


いや、むしろ私に対していっそう酷かった。

Jr.時代、私はこいつにことごとく言葉のナイフで刺されたものだ。


だから私は妙にメンタルが強いのかもしれないが。



侑李「………A？」


頭の中で悶々と考えていると、再び名前を呼ばれた。


記憶の中の侑李より、かなり成長している目の前の彼。


……もしかしたら性格も変わったのかもしれない。


目の前の侑李は、どう見ても天使のように見える。


『…えっと、久しぶり。これから、よろしくお願い、します』



それだけ言うと、侑李は笑ったのだった。



その笑顔を見て、ほっとした。



やっぱり、人は変わるんだ。


あの頃の悪魔の侑李はいないっぽい。


昔の侑李なら、私が最初に「げっ」なんて声を出してしまったことに、とことん嫌味を言ってくるだろう。



よかった、うまくやっていけそう。


そんな安心感から私は少し微笑んで、楽屋に戻ろうと足を進めた時だった。

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