162針 ページ22
探偵社の会議室にいつものように社員が集まり、椅子に座っていた。
「《殺人結社》?」
「はい、政府より緊急の要請です。
先ず被害者の写真を」
国木田がホワイトボードの前に立ち、写真を貼っていく。
「……非道い」
写真に映っていたのは変わり果てた姿の人間。
「被害者は横浜の若手議員。
会議を中座した後五分後にこの状態で発見されました」
『酷いことするなぁ…』
説明を聞いていたAは顔を顰めた。
「同一犯による犯行が今週四件起きています」
「四件も!?」
国木田は続けて三枚の写真をホワイトボードに貼る。
その全ての被害者の殺され方も一人目と同様に残虐なものだった。
「成る程。
《天人五衰》──犯人からの伝言か」
静かだった乱歩が唐突に口を開く。
《天人五衰》という聞き慣れない単語に谷崎は疑問符を浮かべた。
それに答えるかのようにして、会議室の扉が開き誰かが入ってくる。
「《天人五衰》とは六道輪廻の最高位たる「天人」が死の間際に顕す五つの兆候の事だ」
「社長」
入ってきたのは福沢だった。
『確かに、どの死に方も似ている…』
改めてAは写真と死因を一致させた。
「じゃあこれは…「見立て」型の連続狂気殺人…」
そこで敦が何かに気がついたように勢いよく立ち上がる。
「待って下さい、殺人は四件なのに──」
「その通りだ。
五つの衰の内「不本楽座」が未だ無い」
国木田も敦の云いたいことが判っているように、言葉を被せた。
「じゃあ殺人は……もう一件起きる!?」
敦の呟いた言葉に間髪入れずに福沢が口を開いた。
「起きぬ。
何故なら我々が阻止するからだ。
一同全力を挙げ凶族の企みを阻止せよ」
「反対だね」
しかしその言葉に反論する声が挙がる。
福沢はその声の方に目を向けた。
『乱歩、さん…』
これには福沢も少しばかり驚いた様子だ。
「乱歩…理由は」
「友人の最後の言葉」
『………』
Aの頭の中に、無線から聞こえてきた必死の声が思い起こされる。
「この仕事は断る」
険しい表情の乱歩に探偵社員は驚きで声も出ない。
「乱歩」
それを宥めるように、福沢が乱歩の名前を呼んだ。
「社長室の祓魔梓弓賞は見たか。
我々民護の者にとって百年に一度の名誉だ」
「弓を貰ったから仕事を受けろと?」
乱歩は噛み付くように云った。
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jumpcontrolbear(プロフ) - 砂漠のうさぎさん» コメントありがとうございます!なんと!!私の知らないところでこの作品の名前が上がっていたんですね!嬉しい限りです!!更新ゆっくりですが頑張っていきます!ありがとうございます! (2019年10月21日 0時) (レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
砂漠のうさぎ(プロフ) - あるユーザーさんの紹介から飛んできて一気読みしました。原作の雰囲気を崩さないで新しいキャラが動いていて凄いと思いました。話の展開とか言葉のチョイスとかとても好みです…更新楽しみにしてます、頑張ってください!長文失礼しました (2019年10月20日 21時) (レス) id: ad3e66ea3f (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!!あけましておめでとうございます!!また動くみんなを見ることが出来ますね!相変わらずの亀さん更新ですがよろしくお願いします! (2019年1月5日 23時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
桜 - あけおめです!今年ほ更新頑張ってください!作者さん文スト3期4月放送ですよ!来ましたよ!!いろいろと大変かもれませんが頑張ってください! (2019年1月5日 1時) (レス) id: c482d4ca60 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!!番外編も読んでくださったんですね…(感涙)楽しんでもらえてなによりです!!亀更新ですが頑張りますので気長にお待ちいただけると嬉しいです! (2018年11月22日 9時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年8月31日 11時