【文豪ストレイドッグス】蜂の在り処 4章

158針 ページ18

「あ、ちょっとちょっと！Aちゃん！！」



突然、名前を呼ばれて慌てて振り返る。



そこには乱歩さんが得意先にしている駄菓子屋のおばさんがいた。



『どうしました？』


「乱歩さん見てなぁい？」




おばさんは頬に手を当てて腕組みをしながら困ったような表情で云う。




『…へ？乱歩さん、ですか？』



確か乱歩さんは懲罰でおばさんの駄菓子屋の手伝いをさせられていたはず。




「乱歩さんにねうちのお店の売り子の手伝いを任せていたのだけれど、気づいたら居なくなっちゃってて……」




思わず手で顔を覆って脱力する。


言ったそばからこれか……。




『はぁ〜………、乱歩さんめ……』




逃げたな……絶っ対面倒になって逃げた……。




『すいません、見つけたら云っておきます』




「あぁ、いいのよ！

乱歩さんがうちにお手伝いに来るって知った時から何となく予想は出来てたから！」




おばさんの人の良すぎる性格に尚更罪悪感が増す。



とりあえず、おばさんに謝罪をして商店街を抜けた。




気にしなくていいとは言われたけど、矢張りそのまま放置はまずいよね……。



うーん、と首を捻りながら乱歩さんが行きそうな場所を思い浮かべていく。





ピリリリ！



するとポケットの中の携帯が着信を知らせる。


かけてきた相手は、今まさに私が探している人物だった。




『乱歩さん！懲罰サボってどこで何してるんですか！？』



直ぐに通話釦を押して、電話の向こうに叫ぶ。



「うるさいなぁ、今事件に巻き込まれてそれどころじゃないんだよ」



『……はい？』



乱歩さんは面倒くさそうに話す。



『え？事件って、何が…？』



「推理小説の作家殺しの犯人と『共食い』の隠滅屋が同一人物だった」



『推理小説の作家殺しの犯人…？』



あぁ、最近ニュースでよく報道されてたあれか。



「それで犯人を見つけた。


A、直ぐに警察に連絡して僕が云う道を封鎖させろ」



『それで私に電話したんですね。


というか、それくらいのことなら自分で警察に連絡すれば善いじゃないですか』



「嫌だよ、説明するの面倒くさいし、ついでに色々聞かれそうだし」





あまりにも自分勝手な説明に内心溜息をつきながら




『判りました』



と応えた。



まあこれでこそ乱歩さんだ。





やっぱり、乱歩さんはやる時はやってくれる。

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