【文豪ストレイドッグス】蜂の在り処 4章

157針 ページ17

A side



『一一ッ終わっ……たぁ〜〜！！！』



思わず声が出て頬が勝手に緩む。




私が今何をしているか、というと



荷物運びの手伝い。




先の戦いの『共食い』の時に社長の「マフィアと戦うな」という命令に背いた私達は、懲罰として各々得意先のお手伝いを命じられた。




最悪馘首になるかなぁ…、とか思ってたからこの程度で済んでくれて安心した。



社長の優しさだろう。




そんなわけで、私は荷物運びの店の手伝いを任せられ、たった今全て終わった。




想像以上に大変で、街の端から端まで持っていく物もあれば、中身が気になるくらい重いものもあった。



その場で手を上に伸ばせば凝り固まった首や肩の骨がボキボキと音を立てる。




「東野さん、お手伝いありがとう、お疲れ様。


もう戻って良いよ」




荷物運びの店主のおじさんが店の奥から顔を出して云ってくれた。



『こちらこそありがとうございました！

お疲れ様です』






店を出て近くの商店街の中を通る。



店主のおじさんに帰り際に飲み物やらお菓子やらをたくさん持たされた……。



子供扱いされてる……。





複雑な心境になりながら他のみんなのことを思い浮かべる。





ふと目を向けると射的屋が目に入った。




そこで的に縛り付けられ、体に得点の札を付けられた谷崎くんが子供たちの格好の餌食になっていた。





谷崎くんは射的屋の的をやらされてたな……。





何も見なかったことにして早歩きでその場を通り過ぎた。






それともう一人、気がかりな人が。






国木田さんだ。




『共食い』の時に貧民街で犯人を捕まえようとし際、少女が死んでしまったらしい。






死因は手榴弾による爆発。



しかも使われた手榴弾は探偵社の採用型番と同じ、更にはその場に国木田さんが居たことにより国木田さんは容疑者として今留置所に居る。






この件に関しては乱歩さんが国木田さんを無罪にする、と言っていた。




少なからず不安は残っているが、今は国木田さんの事は乱歩さんに任せるしかない。





それに乱歩さんが無罪にする、と言い切ったのなら必ず乱歩さんはやってくれる。




やる時はやってくれる人だと信じている。

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