【文豪ストレイドッグス】蜂の在り処 4章

145針 ページ3

「……本当にその作戦でいくのか……？」




Aの提示した作戦を国木田は迷っていた。



それほどその作戦はリスクが高かった。




「その作戦で行く。」




しかし乱歩はAの作戦を決行するつもりだ。






「だが、万が一の事を考えると……。」




『その時のために私と鏡花ちゃんはマフィアの本部に行きます。


ウイルス異能者は頼みました……。』




「……判った。」




『時間稼ぎはします。

そのうちに社長を！』




「あぁ！」




国木田の返事を聞いてAは電話を切る。





『さて……。』




Aは手首を回しながら屋上のフェンスギリギリまで歩いていく。





『まずは狙撃手……。』




Aは向かいの建物の屋上に手のひらを向ける。



そのまま異能力の針を出す。







「ひっ！！」



中原の耳の通信機から部下の悲鳴が聞こえた。




「なんだっ！？」



「たった今……東野さんの針により……狙撃銃が破壊されました……。」





「Aだと！？」





中原は建物の屋上を見る。




そこには確かにAが立っていた。




Aは中原を確認するとフッと笑った。





そしてザザッという音がして






『こんにちは、中也くん。』






Aの声が聞こえてきた。





「よお……厄介なことしてくれンなぁ。」





『君たちの通信機の回線に入らせてもらったよ。


それに社長を殺しに来た人を止めない部下がいると思う？』





「そりゃそうだな、だがこっちにもこっちの事情がある。」





『狙撃手は全員無効化させてもらった。


後は君たちだ……。



死なないでね。』








それだけ云うとAは回線を切った。





「如何いうつもりだ？」






思案していた中原に部下の一人が慌てて報告する。






「中原幹部！！上空に無数の針が！！」






「はア！？」







中原達の頭上にはいくつもの針が浮かんでいた。



それは紛れもなくAの針だった。







「おいおい、ほんとに厄介なことしてくれやがって……！

全員建物の中に入るか遮蔽物に隠れろっ！！」






中原が指示を出したと共に、頭上の針が一斉に降り注いだ。






『ふぅ、これで時間は稼げたかな…？』




下の様子を気にしながら、Aは横目で横浜の街を走っていく救急車を見る。

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